記事登録
2007年11月18日(日) 02時30分

<クレジット>認知症など判断力狙われ、相談年4000件に毎日新聞

 認知症や知的障害などにより判断力が不十分な人からの消費相談で、クレジット契約を利用したものが4割近くを占めていることが国民生活センターの調べで分かった。平均契約額も高く、70歳以上では同年代平均の1.6倍に上る。サイン一つで高額商品を購入できるクレジット契約が、弱者をターゲットにした業者に悪用されている実態が浮かんだ。

 認知症の疑いで入院中の中国地方の70代女性。家族が高額なネックレスの購入に気づき、数年前から布団など20件約800万円を購入していたことが分かった。九州地方では知的障害の20代女性がデート商法でダイヤのネックレスなどを2カ月で2点計116万円購入。精神障害がある40代女性は呉服業者から1000万円分の着物などを買わされた−−。

 いずれも06年度に国民生活センターが把握した相談事例。これらはほとんど、クレジット契約によるものだった。

 同センターによると、判断力不十分な人が契約したケースの相談は、06年度で1万1118件と10年前の約5倍。このうち、クレジットローンなどが利用されたものは4008件で36%を占めた。消費相談全体では、クレジットなどが絡むものは11.2%で、割合はその3倍を超えている。

 同じ人が繰り返し狙われる「次々販売」の被害は相談全体の1.5%程度だが、判断力不十分な人では17.1%(1903件)を占め、そのほとんどが訪問販売によるもの。これらの人たちの平均契約額は60代で121万5661円(60代全体105万4102円)、70代以上で97万9705円(70代全体60万3182円)だった。

 同センターは「判断力が不十分な人は被害に気づきにくく、契約額が上がる傾向がある。相談の多くは家族からで、表面化していない被害はもっと多いだろう」と話す。【クレジット問題取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071118-00000009-mai-soci