記事登録
2007年11月16日(金) 00時00分

あうんの呼吸読売新聞

 先日の民主党・小沢一郎代表と福田首相の党首会談。どちらが連立協議を持ちかけたのかと問われ、首相は「あうんの呼吸という感じだ」と微妙な口ぶりで明言を避けました。「あうん(阿吽)」はサンスクリット語の「a‐hum」からきた言葉で、「あうんの呼吸」とは、広辞苑によると「共に一つの事をする時などの相互の微妙な調子や気持。特に、それが一致すること」です。

 英語で説明すると、 Aun no kokyu means that people are on the same wavelength when they are doing something together. With such a state of mind,they can communicate without gestures or words. といったところでしょうか。

・on the same wavelength(同じ波長、考え方、感じ方)

 スポーツではあうんの呼吸が生み出すプレーが見られます。

 Anticipating each other's movement,Nakamura and Takahara played a neat one‐two.(あうんの呼吸で中村と高原が見事なワン・ツーを決めた)お互いの動きを予想( anticipate )しながら絶妙に息を合わせているわけです。

 逆に、例えば大勢で会話が弾んでいる時に、タイミングを考えずに、突然場違いな話をし始める間の悪い人はいませんか?

 He wasn't in sync with the ebb and flow of the conversation.(彼は話の流れからずれていた) ebb and flow は「潮の干満」、 be in sync withで、「一致している」。もう少し直接的に、 He often doesn't pick up on the vibe.(彼は雰囲気を感じ取らない)つまり「空気を読まない、読めない」。最近の言葉で言うと“KY”です。

 「あうんの呼吸」とは nonverbal communication(以心伝心)です。「言わず語らず」が日本人の美徳とされてきたのは確かですが、暗黙の了解( tacit understanding )となると不透明さも感じます。

 前防衛次官と接待攻勢をかけた防衛商社元専務との間に、便宜供与という「暗黙の了解」があったのなら言語道断ですね。

 (桜井陽介記者)

 デイリー・ヨミウリでは、英訳したらどんな表現になるのか気になる日本語を、郵便またはe‐mailで募集します。〒100‐8055 読売新聞東京本社英字新聞部「コレって英語で」係まで。e‐mailの場合は、kore@yomiuri.comまで。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/learning/english/20071116us01.htm