記事登録
2007年11月16日(金) 06時20分

オートバックスのCB発行中止、会社側の理由説明に食い違いロイター

 [大阪/東京 15日 ロイター] オートバックスセブン<9832.OS>の松尾隆・取締役兼CSO(経営戦略推進統括)は15日午後、大阪で会見し、予定していた650億円の資金調達を中止した理由について、150億円の払い込みを確認できたものの、500億円については確認できなかったためなどと説明した。ただ、大阪の会見後、同社の東京の経営企画部広報グループはロイターに対し「150億円の払い込み自体も確認できていなかった」と述べた。会社側の説明は、会見内容と本社の経営企画部では一致していない。
 大阪の会見で松尾CSOは「(発行中止の)背景について詳細は調査中」としたうえで「振込先となる口座が開いていなかった」と述べ、まず、口座開設の手続き自体に不備があったことを明らかにした。
 経営企画部によると、口座を開設できなかったのは、銀行側からオートバックスは口座が開けないと説明されたためで、オートバックス側は「理由について(銀行側から)明確な回答を待っていた」(同部広報グループ)という。
 松尾CSOは会見で、銀行口座自体は開いていなかったものの「キャッシュとしてはエスクロー口座(中間に置いて取引の安全性を保証する仲介口座)にいったん入れる状況だった。150億円については確認した。残りの500億円については確認できなかった」と発言。エスクロー口座には、割り当て先の一角であるSKアドバイザリーからの150億円の入金があったのを確認していたという。
 しかし、大阪での会見後、東京の経営企画部はロイターに対し「150億円の資金振込みの電話はあったが、着金という部分では確認できていなかった」と説明した。これが結果的に、13日に払い込みを完了したという誤ったプレスリリースの発表につながり、同日夜に内容を訂正するに至った背景になったという。
 会見では、今回の払い込みの遅れが単に手続き上のミスなら、発行日の延期などで対応できるはずで、発行自体を中止することはなかったのではないか、との質問がでた。
 これに対し松尾CSOは、弁護士などに相談したところ「いったん中止にしたほうがいいだろうという判断を昨日(14日)時点でした」と述べた。
 今回の混乱の責任の取り方について松尾CSOは、検討していると述べたうえで「いまは騒動を収束させることに注力する」と語った。
 オートバックスは、今後も引き続き、M&Aのための資金調達の時期や方法を再検討するという。今回のCBの発行が中止になっても、オートバックスは、カー用品市場の縮小などを懸念しており、一段の成長にM&Aは必要とみている。
 (ロイター日本語ニュース 江本 恵美記者、ネイサン・レイン記者)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000153-reu-bus_all