記事登録
2007年11月15日(木) 11時20分

ガソリン150円台!今後の見通しを探るツカサネット新聞

石油情報センターが11月14日に発表した1リットルあたりのレギュラーガソリンの価格は、全国平均で150円を超えた。11月から卸値が大幅値上げされ、発表前から予想されていたこととはいえ、小売価格が150円を超えるのは、1980年前後の石油危機以来のことである。全国平均が150.1円であるが、恒常的に高い地域(長崎、鹿児島等)では150円台半ば〜後半だ。一部のガソリンスタンドでは、160円を超えているだろう。

ガソリン価格に直接的な影響を与える原油価格も最近上昇の一途を辿り、11月7日には1バレル98ドル台を記録、100ドルも視野に入ってきた。ここ数日は下落しているものの、大きく値を上げてきただけに、当面は不安定な値動きが予想される。

今後もガソリン価格は上昇し続けるのであろうか。短期的には、全国平均で160円台の可能性もあるのではないかと考えるが、今後の見通しについて考察したい。

原油価格が上昇する要因としては、(1)経済発展が著しいBRICを中心とした石油需要の増加(2)不安定さが続く中東情勢(3)サブプライムローン後金融市場が不安定化している中で投機資金や年金関連資金の流入といったことが主要なものとして挙げられる。また、原油取引の基本通貨であるUSドル安がこれらに拍車をかけている。

では、下がる要因はないのであろうか。

実は、石油の埋蔵量と年間消費量から割り出した「可採年数」は年々増加している。(エネ研・石油情報センター資料)需要は増加しているものの、石油開発技術による生産力向上や、新規油田の開発による確認埋蔵量の増加によって、今後も可採年数の維持や増加が期待されている。

上記の価格上昇要因のうち、(1)の石油需要の増加については、今後も需要の増加は続くであろうし、石油が有限資源であることに変わりはないが、需要の増加にはある程度対応できる期待は持てる。代替エネルギーへのシフトも多少は進むだろう。

(2)の中東情勢の不安定さについては、世界の埋蔵量のうち約20%を持つイラク・イランなどを中心に不安定さは当面続くであろうから、引き続き上昇圧力であり続けると考えられる。

一方、(3)の投機資金や年金関連資金の流入はいつまでも続くわけではないだろう。これらの資金は流入も早いが流出も早い。利益も確定しなければならないし、他の金融市場が安定してくれば、資金が一気に流出していく可能性がある。これらの短期的な資金が流入したのが2007年前後だとすると、流出した後の原油価格は、2005年〜2006年頃の1バレル50ドル前後になるのではないだろうか。

1990年代に見られた1バレル10ドル台というのは考えにくいが、中東情勢がある程度落ち着いた場合はもう少し下がるかもしれない。

1バレル50ドル〜60ドル程度になると、為替相場の大幅な変動を考えなければ、ガソリンの小売価格も110円〜120円程度になると考えられる。(原油価格が95ドル程度から60ドルに4割弱下がってもガソリン価格が2割程度しか下がらないのは、固定的なガソリン税として1リットルあたり53.8円が課されることによる)


(記者:イーグル)

■写真
写真撮影:イーグル記者

■ガソリン関連記事
重すぎるガソリン税

■値上げ関連記事
庶民イジメの首都高「新料金」

■関連記事
イーグル記者の書いた他の記事
「経済・経済・景気・雇用」カテゴリー関連記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071115-00000020-tsuka-bus_all