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2007年11月15日(木) 10時21分

「ビューティーコロシアム」とそのトラウマツカサネット新聞

『ビューティーコロシアム』という番組がある。「人は顔じゃない心だ」とはいうけれど、あと一つ、ここさえどうにかなれば、外見からくるトラウマさえ克服することができれば、自分の人生は変わるんじゃないか・・・。それを美容外科医やビューティージャーナリストがバックアップし、番組の司会進行を和田アキ子が勤め、芸能人のコメンテイターとして中尾彬や石田純一、くまきりあさ美をゲストに迎えるという企画である。

美容整形や減量の公開録画番組で、今も昔も民放のゴールデンタイムを占領しているにもかかわらず、主に見ているのは女性。「彼女らの心のトラウマ」の一因となった言動をした男性が見ているわけもなく、ましてや男性の多くは「そんな番組がゴールデンタイムを支配してるなんて」と内心さげすんでいるのではないか。

そのいい例が、Yahoo知恵袋の投稿欄に出ていた。
「クラスのある女子にもう僕は、うんざりです。」


あまりに酷い質問例で質問そのものが消されてしまっては解せないので、内容を要約し紹介する。質問者は恐らく高校生男子だろう。同じクラスにいる、とある女子の見栄えがあまり良くないという。その彼女の造作が自分好みでないのと、肥満ぎみであることが書かれている。また、今どきの女の子は見栄えに気をつかう子が多いので、隣にいると笑ってしまう上に、見るだけでうんざりだというなんとも失礼な内容だ。しかも、この高校生男子、「彼女が整形すればいい」と言う。

彼をこういう風に育てた母親や学校環境を疑い、寒気がしてしまった。「僕は優しい好青年だから彼女に整形すればなんて言えないし、彼女にキモいと面と向かって言っている男子だっているんだし、僕の優しさに自分自身で完敗しちゃうんですよ」とまで言う。バカじゃないかと思った。女性はバカじゃない。そんなクラスの男子にそこまでさげすまれていたら、この男子が「そんなこと思っていない」って言っているのがいずれウソと判るだろう。その時のショックははかりしれないだろう。

で、彼の相談というのは「彼女を整形にもっていく方法を教えてください、費用は全額彼女持ちですよ、彼女の為にビタ一文出したくないんですから」。図々しいにも程がある。

この悩みの果てにあのゴールデンタイムの番組に出てくる女性の涙があるのかと思うと、哀しくなってくる。テレビの前にさらし者にされる形で、こんなくだらない男たちやバカにした人たちの為にと思うと、この番組を見るたびに泣けてくる。

かつて私は、靴屋でとりよせた靴が入らなかったことがある。それをベテランのシューフィッターが見て噴き出した。わざわざ取り寄せた靴が入らない、お客さん? とでもいいたそうな顔。体があまり強くないので、フルタイムで勤めて趣味のジムに行くので精一杯、でも1年以上かけて体重を10kg以上落として、靴はすんなり入るようになった。だから、この番組に出てくる人の苦労、少しでもわかる気がする。

これは女性にも男性にもいえることだ。表面で笑って「おキレいですよ〜」なんていっていても、裏にまわれば知恵袋の高校生のように「他の人は悪口を言ってるけれど、僕は言わない。こんな僕ってすばらしい完敗だ」なんてとんでもないナルシストだとすれば、相手にとってただの迷惑であり、ただの図々しい人間でしかない。情けない程正直にしか生きられない人間からしてみれば、こんな人間、周りにいるだけで胃痛がする思いである。

相談者は高校生。私も高校生の時はとんでもなくブサイクだった。高校時代の友人を減量成功時に「裏切り者」と失ってしまったこともあった。人の外見、いつ、何時変わるか判らないのだ。人の心身が長い年月をかけて育成され美しくなるものだということを相談者とそのご両親の年代の方は知った方がいい。


(記者:Ryoko_O)

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