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2007年11月15日(木) 10時05分

医療制度改革のドタバタに不安ツカサネット新聞

来年4月から後期高齢者医療制度が開始される。後期高齢者医療制度は、すべての75歳以上の高齢者と65歳以上75歳未満の一定の障害を持った方が対象となる。ようするに、これまで老人保健の適用となっている高齢者が対象だ。ただし、65歳以上75歳未満の障害により対象となる方については、本人の希望により後期高齢者医療制度の加入者(被保険者)にならないこともできる。

この後期高齢者医療制度に対しては、「保険料の負担増」「公的年金からの保険料の特別徴収」「被保険者資格証明書の発行」「新たな診療報酬体系」などを問題視し、制度そのものの凍結を呼びかけている政党もある。

昨年の医療制度改革のなかでは、社会保険などの被扶養者で後期高齢者医療制度に移行することで新たに保険料の発生する加入者(被保険者)については、2年間均等割を半額にするという軽減措置が設けられることになっていた。しかし、福田総理の意向から、保険料の凍結について与党プロジェクトチームで検討することとなり、最初の半年間は保険料を全額凍結し、次の半年間は均等割を9割軽減するという方針が示された。その財源は国が負担するという。

だが、本当にそれでいいのだろうか。軽減措置を手厚くするというのはいいことだと思うが、生活が苦しいのはいままで被扶養者として社会保険などに加入していた人たちばかりではない。もともと国民健康保険に加入していた中にも、非課税世帯や所得のない世帯はあるのである。考えようによっては、これまで被扶養者となって社会保険に加入していた高齢者の方が恵まれているという見方さえできるのである。極めて政治的で、そして安易な見直しではないだろうか。

また、70〜74歳の高齢者については、来年4月から医療費の一部負担割合が2割になることが決まっているが、それについても1年間1割に据え置くことになるようだ。

国の負担は、後期高齢者の保険料見直しでは約360億円、70〜74歳の2割負担凍結では約1,100億円になる。また、この臨時的な対応のため、保険者などのシステム改修に100億円以上の費用がかかるという。このシステム改修費については、与党の選挙対策のために消えていく費用のような気がしてならない。このような費用が消えていく中、逆に保険料負担の重くなる高齢者もいるのだ。

経過措置により高齢者の負担が一時的にしても軽減されることを喜んでいる自分がいる一方で、それを実行しようとしている政府に対する不信感を募らせる自分も同時に存在する。そういう意味では、現在検討されている高齢者の心身の特性に対応した診療報酬体系というものに対しても不安が高まる一方である。


(記者:元水 冠)

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