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2007年11月14日(水) 12時01分

富士見の女性刺殺:被害者に強い恐怖心 咲容疑者「やらなきゃやられる」 /長野毎日新聞

 富士見町落合の同町社会福祉協議会臨時職員、五味絵里子さん(24)が自宅で殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された義姉で同社協パート職員、五味咲容疑者(24)が絵里子さんに強い恐怖心を抱いていたことが13日、分かった。関係者などによると、事件前は「やらなきゃやられる」などとおびえるような状態だったと言い、県警茅野署捜査本部はそうした精神状態が殺意につながった可能性もあるとみて調べている。
 関係者の話によると、絵里子さんと咲容疑者の関係に変化がみられたのは、絵里子さんが自宅に住むようになった昨年7月ごろとされる。絵里子さんの所有物がなくなったことや咲容疑者の子供のことなどを巡り、2人は仲たがいし、今年6月には絵里子さんの母親が同町社協に2人の職場を離すように願い出るまでになった。また、同7月、咲容疑者は家族とともに絵里子さんの自宅を出たが、別居後も車や人の足音などでもおびえていたという。
 また犯行に使われた金づちは約1カ月前に購入。咲容疑者の車の中に置いており、犯行の際、咲容疑者はスーパーで買い物をした後、同町役場に車を止め、金づちを袋に入れて現場まで運んだという。犯行後、咲容疑者はまだ絵里子さん宅にあった自分の衣類に着替えて帰宅したらしい。捜査本部では2人を巡るさまざまなトラブルが犯行につながったとみて、咲容疑者を追及している。
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 また、14日で事件発生から1週間がたつ。絵里子さんの祖母は「なぜ事件が起きたのかは分からない。何を言っても時間を取り戻すことはできない」と悲しげな表情を見せた。近所の80代女性は「(咲容疑者は)そんなことをするような人には見えなかった。捜査で事件の真相が明らかになるのを待ちたい。ただ時間がたたなければ、夜は怖くて眠れない」と話した。また別の70代女性は「みんなが不幸。かわいそうすぎる」とつぶやいた。
 絵里子さんや咲容疑者の勤め先だった町社会福祉協議会には、玄関に「今後の取材は一切お断りします」などと書かれた張り紙が掲げられている。対応した男性職員は「取材には応じられない」と話した。

11月14日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071114-00000072-mailo-l20