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2007年11月14日(水) 14時21分

全盲男性置き去りの堺の病院、入院費などの未収金年400万円産経新聞

 新金岡豊川総合病院(堺市北区)の男性職員4人が全盲の男性患者(63)を公園に置き去りにした事件で、同病院全体の入院費などの未収金が年間約400万円に上ることが14日、大阪府警西成署の調べで分かった。男性は約2年半前から入院費を滞納し、約185万円を支払っていなかったが、他にも約30人の患者が入院費や診療費などを滞納していたことが判明。同署は入院費の未払いなど院内トラブルが事件の背景にあったとみており、なぜ男性だけ放置されたのか関係者から事情を聴いている。

 調べや病院の説明によると、同病院の入院患者は約100人。男性と同じ生活保護を受けながら長期入院する患者も多く、院内では毎月30〜40万円の入院費などの未収金があったという。男性は糖尿病の治療などで約7年前から入院し、当初は入院費の支払いは免除されていたが、長期入院で本人負担となった約2年半前から滞納するようになった。

 男性は大阪市住吉区の自宅で生活する内縁の妻(63)が「生活保護費の中から支払ってくれていると思った」などと説明したが、実際は約185万円分が未払いだった。ただ職員は未収金があるのを認識しながら、「男性が怖い」との理由で督促していなかったという。

 これまでの調べで、遺棄に関与したのは渉外係と医事課の32〜47歳の男性職員。4人は9月21日午後1時ごろ、男性を車で連れ出した。内妻に男性の引き取りを求めたが断られ同2時20分ごろ、西成区の公園に男性を降ろして置き去りにした疑いが持たれている。

 渉外係の男性職員(47)は数分後、匿名で「男性が倒れている」と119番通報し、救急車のサイレンの音を確認した後、公園から立ち去った。職員の1人は調べに「病院に連れて帰っても同じことの繰り返しになると思った」などと男性との院内トラブルが事件の原因にあったことをほのめかしており、西成署は他の職員からも事情聴取し、トラブルの状況や置き去りの経緯について調べている。

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