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2007年11月13日(火) 10時05分

お騒がせ運動家 ニュージーランドでテロ?ツカサネット新聞

10月も中旬、いきなりこの国ニュージーランドで、武装テロ集団を逮捕したとのニュースが伝えられた。ムスリム過激派か? 宗教集団か? ニュースを追っていくとどうもそうではないようだ。なんと見慣れた、顔面いっぱいにマオリタトウのタメィ・イティが映っている。なるほど。

このタメィ・イティといえば、お騒がせ運動家として知らない人はいない。彼の活動は60年代までさかのぼる。国会前の庭にテントを張り、ここがマオリ大使館だと言ってみたり、北部のTuhoe地域の地主に退去命令の文章を送りつけたり、Tuhoeのパスポートなるものを手に、この地域はマオリのものとメディアをにぎわせたことも記憶に新しい。おしりを出すのも得意技である。彼曰く、誕生のシンボルとしてやっているそうだ。

2005年のワイタンギディで、わざわざニュージーランドの国旗に向かって銃をぶっぱなし、集まっていた聴衆に危険を及ぼしたと逮捕された。この模様もテレビで繰り返し放映された。その場では警察は特に罪に問わなかったのを、後日議会で政治のネタとして使われ、結局逮捕となる。すったもんだのあげく、銃の不法所持に罪状を変えられ、司法はこれを儀式の中での行為であり、必ずしも人を傷つける条件になるとの証明ができないとした。

しかし、タメィ・イティが目の上のたんこぶ、あるいは政治的に利用価値のある写真映えするアイコンであるのは何も変わりはない。今回はテロ禁止法という名のもと、銃器不法所持を掲げて、一気に各地のシンパとされる個人宅まで警察が踏み込んだ。

テロ活動と銘打つためには、銃器不法所持だけではなく、テロのターゲットなり何か具体的な理由がそこになければいけないと思うのだが、未だ全く何の詳細も出てこないことを考えると、これも何かの政治的な圧力で動いている類のことなのだろうか。とにかくマオリ右派の人種差別発言は連日にぎわっているし、法廷で逮捕者の何かの小さな出廷があるたびに、近隣はデモで大騒ぎである。

特にこのおおがかりな捜査の入ったベイオブプレンティの小さな町は警察の特殊部隊が真っ黒な装束に大きな銃を持って、住民を恐怖に陥れたと地元の有識者も加えて警察批判が始まっている。幼稚園児がニンジャの兵隊がいるから、幼稚園に行くのが怖いと言っているというし、教会の神父さんも車のナンバーを記録されているそうだ。

タマ・イティのモコと呼ばれる顔面のマオリタトウと、モヒカン風のヘアは写真映えがするし、その常に法廷がらみでもめごとを起こす行動パターンで、今回とて何ら目新しいことはない。だが、この「テロ」のレッテルが、マオリ活動家、右派の連中には、アメリカ式のテロの定義を貼られた、人種差別だということになって、当然政治もからんでかしましい。新聞のアンケートによると、白人層の意見は、この段階での警察批判は時期尚早という意見が多いそうだ。だが、マオリ層は半分が警察は行き過ぎだ、人種差別だということになっている。

タメィ・イティの写真を載せたいのも山々だが、彼は海外のホームページに自分の写真が勝手に使われた、肖像権だ、マオリ文化の冒涜だといって、訴えたりもしている。実は近所のスーパーでよくお目にかかるのではあるが…。興味のある方は新聞などで見てみてください。




ヘラルド新聞のインタビュー
マオリの雑誌マナのインタビュー




(記者:大空)

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