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2007年11月13日(火) 06時05分

防衛省天下り「売上額10億円で1人」 山田洋行朝日新聞

 軍需専門商社「山田洋行」(東京都港区)が、「防衛省への売上額10億円に対し1人」の割合をメドに、同省・自衛隊からOBの天下りを受け入れる方針を立てていたことが関係者の話でわかった。この採用は、業務上横領容疑などで逮捕された同社元専務の宮崎元伸容疑者(69)=日本ミライズ前社長=の方針とされ、防衛省側と暗黙の合意が出来ていたという。守屋武昌・前防衛事務次官(63)のゴルフ接待問題が発覚する前には、将官クラスを含むOB10人が「顧問」の肩書を持っていたが、その後、2人が辞職した。

 防衛省と取引のある商社の多くが天下りを受け入れているが、10人も受け入れているのは大手メーカー並みで、社員約120人の中堅商社では突出している。

 山田洋行への天下りは、陸将1人、空将2人を含む3自衛隊の将官が中心。最近では05年に陸上自衛隊西部方面隊幕僚長(陸将)、04年に陸自航空学校霞ケ浦分校長(陸将補)、03年にも陸自と空自の将補2人を受け入れた。

 山田洋行の同省向けの売上額(中央調達分のみ)は、06年度で約33億円だった。02〜05年度は25億〜43億円で推移。99年度は160億円、00年度も159億円に上っていた。

 関係者によると、山田洋行の天下り採用数は、自衛隊への売上額10億円につき1人が受け入れの目安となっており、「防衛省側との暗黙の合意事項」になっていたという。この採用方針は、同社の防衛部門の責任者を長く務め、防衛省の内部事情に詳しい宮崎元専務が立てた方針だったという。

 また、ある防衛庁(当時)元幹部は「業者側の天下りの受け入れ人数と、防衛庁からの受注額には相関関係がある」と証言している。

 山田洋行の天下り受け入れは、装備品や調達制度についての専門知識をもつOBを採用しているのが特徴。同社の取引には自衛隊の航空機関連が多いためとみられるが、歴代の顧問には航空自衛隊の補給本部や技術研究本部の出身者も目立つ。

 同社の顧問は、社長室顧問と営業顧問の二つに分けられる。装備品調達のための専門知識を提供する業務のほかは、防衛省・自衛隊の装備担当者などに面会する宮崎元専務や社員に同伴したり、社長の名代として自衛隊の部隊を訪問して行事に出たりしており、OBとしての「威光」を示す役割だ。ただし、「実際の業務にはタッチさせていない」のが実情だという。

 宮崎元専務による守屋前次官への接待攻勢などが表面化して以降、補給本部長を務めた空自OBら2人が顧問を辞職した。

http://www.asahi.com/national/update/1112/TKY200711120283.html