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2007年11月12日(月) 10時00分

ついに要塞化される豊洲の「築地市場移転先」日刊ゲンダイ

 東京の築地市場の移転をめぐってまたひと騒動だ。移転予定地の江東区豊洲の都有地から、今度は環境基準の1000倍を超す有害物質ベンゼンが出てきた。東京都はその汚染対策費用として352億円の追加予算の検討に入っている。
 当初の対策費318億円で“安心”としていた都の計画は大幅に狂い、総額670億円が約37ヘクタール分の土をきれいにすることだけに費やされるわけだ。
 こんなに金額が膨れ上がるとは都もビックリだったようだが、そもそも670億円も使って何をするのか?
「まず、敷地全体の周囲に深さ5、6メートルから10メートルまで鉄板を差し込み、完全に囲ってしまう計画です。さらに汚染された地下水を汲み出し、汚染除去に効果のある微生物も埋め、また汚染物質が下層の土から上に来ないように横にも鉄板を敷く。6年後に築地市場を豊洲に移す計画は変わりませんので、出来るだけ早く、来年秋か再来年早々には工事を始めたいですね」(東京都・中央卸売市場管理部財政課担当者)
 要するに、豊洲の新市場予定地を他の土地から完全に隔離し、“要塞化”してしまうわけだ。
 ほかにも、地下2メートルまでの土をすべて掘り起こしたり、市場を建てる場所はさらに2.5メートルの盛り土をする。土を掘っちゃ埋め、そのまた上に土をかぶせる。何とも手間のかかる作業なのだ。
 前出の都の担当者は「対策費は670億円がマックス」と胸を張るが、今後も別の有害物質が出てくれば、どうなるか分かったものではない。「もうやめたら?」の声が都民から沸き上がっている。
 豊洲新市場の総事業費は計4400億円。一等地にある築地市場の跡地の売却益で賄えるというが、公共事業は追加追加で際限なく膨らむのが常。完成した時には赤字になっているのではないか、石原サン。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071112-00000016-gen-ent