記事登録
2007年11月12日(月) 10時00分

守屋前次官逮捕が次の焦点日刊ゲンダイ

 山田洋行の元専務・宮崎元伸(69)が逮捕されたことで、次の焦点は“ゴルフ接待漬け”にされていた守屋武昌前防衛次官のXデーに移った。だが、検察はかなりてこずっているようだ。背後にいる政治家の解明も含めて、国会が後押しするしかなくなってきた。
 宮崎の容疑は、かねて指摘されていた業務上横領。山田洋行の米国子会社から不正に1億円を引き出し、うち3000万円が日本ミライズ設立の資金に使われたというものだ。大騒ぎされている防衛利権汚職からすれば、どうでもいいこと。問題は、守屋前次官の逮捕がいつになるかである。
「検察の調べに対し、宮崎も守屋も贈収賄を恐れて、肝心なことはしゃべっていない。久間元防衛相と山田洋行の癒着の方に話をそらし、はぐらかしている。検察は、守屋のゴルフや飲食の接待を積み上げて、収賄でやろうとしている。ただ、ゴルフ代にしても全額支払わせたわけでなく、毎回1万円は自腹を切っているのがネックになって、ちゅうちょしています。それに便宜供与の容疑も弱い。仕方なく、守屋のかつての部下たちを洗い直して、随意契約に関する容疑を固めているところです」(司法関係者)
 来週15日に、参院で守屋の再証人喚問が開かれる。そこで偽証容疑が固まれば、これを強制捜査の突破口にするらしい。 だが、これまでの捜査を見ていると、この事件は守屋前次官と宮崎の癒着だけで終わってしまいかねない。そのウラにいる歴代の防衛庁長官や小泉元首相の疑惑解明には程遠い。
 だから、山田洋行オーナー家の結婚式のお車代で「100万円」ずつもらったと報じられた久間章生元防衛相は病院に逃げ込んでしまったし、額賀福志郎元防衛庁長官(現・財務相)は「金額は20万円。家内が祝儀としてお返しした」なんてスットボけて幕引きに走っている。「もらった20万円を祝儀にしたのなら、自分の懐は痛んでいないんだから、もらったことになる」と与党幹部もあきれるスリ替えだ。
 軍事問題評論家の前田哲男氏が言う。
「守屋前次官は小泉政権で4年以上も防衛庁のトップに君臨し、沖縄の基地移転や在日米軍再編問題を仕切るまでになり、昨年の小泉首相の訪米では異例の同行までしている。なぜ、そこまで権力を持つようになったのか。小泉首相に可愛がられ、防衛族議員の支援があったとされるが、一体どんなギブ・アンド・テークがあったのか。それが解明されなければ、防衛省スキャンダルはフタをされてしまう。ゴルフ接待のような瑣末(さまつ)な問題で終わらせてはいけません」
 本当だ。検察捜査に限界があるなら、国会で野党がガンガン切り込むべきなのだ。前政権の防衛腐敗解明は、インド洋上でガソリンスタンドの真似事をすることより、よっぽど国民生活に重要なのだ。それができなくて、テロ対策だの国際貢献もないだろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071112-00000015-gen-ent