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2007年11月12日(月) 10時00分

この人物のオモテとウラ 伊東敏恵(NHKアナウンサー)日刊ゲンダイ

 NHK「ニュースウオッチ9」のメーンキャスター・柳沢秀夫解説委員主幹(54)が体調を崩し、10月31日から突如画面から消えた。復帰時期未定のまま、残された伊東敏恵アナ(35)への期待と関心が高まっている。
 一連の不祥事を脱却する“新生NHK”の看板番組として昨年4月にスタートした当初から、従来型原稿棒読みスタイルの不自然さを避けるため「原稿をスタジオに持ち込まない」など“ぶっつけ本番”を売りにして始まった。
「ニュースの内容をよく把握していれば原稿なしに自分の言葉で伝えられるはず」との伊東の大胆提案で、ニュース番組の「必需品」だったプロンプター(原稿表示装置)を使わず、「読むニュース」から「伝えるニュース」に大シフト。
「今度こそNHKが変わったと言われるよう200%頑張る」と、番組開始当初から意気込んできたのが伊東アナだった。
 湾岸戦争、チェルノブイリ事故など海外で数多くの修羅場を踏んできた柳沢も、50歳を過ぎてのメーンキャスター抜擢は相当なプレッシャー。
 初回放送では柳沢が手元のマイクスイッチ(FU)を3度も切り忘れ、あわや待機中の会話が筒抜けになる緊張ムード。瞬時の機転で伊東が代わりにスイッチを切った。その伊東さえ、実は緊張のあまり自分のFUを入れ忘れたりしてヒヤリ。
 以来、伊東は「ゆっくり、FU、足そろえる、しっかり」と書いた自筆メモを目の前に張り付けたという。

 山口県周南市出身の伊東アナは96年入局から12年目。初任地の岡山では高校野球のラジオ実況に女性アナとして挑戦。99年、広島局に移ってからは「おはよう日本」の広島の顔として地元のアイドル的存在になり、多くのファンをつくった。
 02年に東京勤務となると、お昼の3時間生番組「お元気ですか 日本列島」や長時間に及ぶ討論番組「日本の、これから」の立ち上げ時期に司会役を務めるなど、常に新しいタイプの生番組を、要所要所でもり立ててきた。
 そんな伊東にとっての重要な“心のファインダー”となってきたのが、短歌の31文字に凝縮された「等身大の自分」だと、あるテレビ局関係者は語る。
「彼女は中学のころから徳山のおばあちゃんの影響で、短歌を書きためてきました。今も番組ホームページのコラムで、番組の話題に引っかけて俳句や短歌を披露していますが、彼女が例えば『メタボ』を口にするとき、自分の父親の顔を思い浮かべたり、自分の視点に置き換えてものを見る習慣が身についている。NHKの番組を本当に変えたいなら、この際もっと番組を伊東カラーで染めちゃえばいいのにと思います。今がチャンスです」
 新生NHKに次代の安藤優子や小宮悦子を輩出するつもりがあるとしたら、今一番近くにいるのはこの人だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071112-00000007-gen-ent