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2007年11月11日(日) 02時36分

<船場吉兆>表示偽装、取締役も知っていた…現場責任者証言毎日新聞

 高級料亭や加工食品販売を営む「船場吉兆」(本店・大阪市中央区)が、賞味・消費期限切れの菓子や総菜を「吉兆天神フードパーク」(福岡市)で販売していた問題で、同フードパークの現場責任者だったパート従業員が農林水産省の聞き取り調査に対し「期限ラベルの張り替えは取締役も知っていた」と説明していることが10日分かった。同社経営陣はこれまで「パート従業員にすべて任せていた」と説明しているが、双方の主張が対立しており、農水省は引き続き調査を進める。

 同フードパークでは責任者のパート従業員の下でアルバイト5人が働いていた。農水省の調査で、賞味・消費期限のラベルを張り替え、売れ残った菓子と総菜計12品目、計3439個を販売したことが判明している。

 パート従業員は約3年前から同フードパークで勤務。関係者によると、パート従業員は表示偽装について、農水省に「ラベル張り替えは前任者からの引き継ぎ事項だった。売り上げや在庫は商品ごとに毎日、大阪の本社にファクスで報告していた」と説明したという。

 ラベルの張り替えはほぼ毎日していたといい、九州統括責任者の湯木尚治取締役に、消費期限の近づいた菓子の取り扱いについて尋ねた時は「頑張って売るように」と言われた。また、百貨店のイベントで売れ残った商品がフードパークに持ち込まれ、当日が消費期限の菓子のラベルを湯木取締役の前ではがしたこともあったという。

 パート従業員は「湯木取締役の了解がなければ、売れ残った商品の廃棄はできなかった。店では期限切れという言葉を使えない雰囲気があった」と農水省に証言した。

 船場吉兆は9日、湯木正徳社長ら3役員が記者会見したが、フードパークから売り上げや在庫の報告は一切なく、売れ残りを表示偽装して販売する指示はしていないと説明。「現場に任せ切りで、偽装は(福岡市や農水省の調査まで)まったく知らなかった」と会社側の関与を否定している。

 同社ではフードパークでの賞味・消費期限の偽装に続き、大阪の本店で牛肉や鶏肉の加工品の偽装表示が明らかになり、農水省が改善を指示している。【食品偽装取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071111-00000014-mai-soci