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2007年11月10日(土) 12時00分

会計検査院:決算検査報告 長野労働局前局長、検査中の文書破棄指示 /長野毎日新聞

 ◇「深く反省している」
 「文書を破棄するよう指示していた」。06年12月の会計検査院の実地検査中、伊藤昭・前局長(53)が超過勤務に関する書類を破棄するよう指示していた長野労働局。9日公表された06年度の同院決算検査報告で、名指しで指摘された。同院は「全国の労働局の不正行為が問題になっている最中に、極めて不誠実な対応だ」としている。
 同局の小池国光局長は同日会見し「国民の信頼を裏切るもので深く反省する」と謝罪。伊藤前局長は8日付で厚生労働省大臣官房付となり、減給10分の1(3カ月)の懲戒処分を受けた。
 同局は検査報告で、00〜04年度の5年間の超過勤務手当について、県内六つの労働基準監督署や公共職業安定所で約470件・84万円が不適正支給と指摘された。超過勤務等命令簿と機械警備記録の不整合から発覚。残業実績を別の日に付けるなど、所属長らの不適切な事務処理が原因だという。うち約27万円分については過大支給だったとして職員が国に返還。ほかは事務処理上のミスとされた。
 この検査過程だった06年12月、同院の実地検査で、同局は超過勤務手当記録の不整合を指摘された。伊藤前局長は自主点検で既に不整合を把握していた事実の発覚を恐れ、書類破棄を指示していた。伊藤前局長は「隠していたと指摘されるのを恐れていた。深く反省している」などと話しているという。【神崎修一】
 会計検査院に指摘された主な県内自治体は次の通り。
 ▼東御市
 市営住宅への家賃補助金で、過大請求額は約480万円。同市建設課によると、家賃補助金は土地購入などで緊急助成を受けた物件に関しては、国の基準で補助から除かれている。ところが同市の担当職員は、01年12月〜05年8月にかけて緊急助成を受けて建設された4カ所の市営住宅に関して、国の基準を把握していなかった。そのため、誤って国に請求したという。【川口健史】
 ▼上田、長野市
 保育所運営のために受ける運営補助金など。上田市が90万円(05年度)、長野市が516万円(04、05年度)。
 上田市保育課によると、同市は父母だけの所得で保育料を設定する。一方、国の基準では父母だけでなく同居家族の所得も勘案するため、高い保育料が設定される。そのため、国の設定より安い保育料になり、同市の保育料を差し引いて残った運営費は国の基準より多くなるため、その運営費の補助金の請求が過大になってしまったという。同課では「保育料の設定に関して、国との見解の相違があるが、返還したい」とする。長野市も過剰分を国に返還する。【川口健史、藤原章博】
 ▼飯田市
 05年度の介護保険で、一部を国が負担する介護保険財政調整交付金の一部である普通調整交付金のうち150万円が不適切な処理と指摘された。
 同市によると、被保険者の年齢構成や収入水準のばらつきによって生じる市町村ごと保険財政の格差を調整する交付金割合を誤って算出。交付金を過大に申請してしまったという。【仲村隆】

11月10日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000084-mailo-l20