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2007年11月10日(土) 12時18分

船場吉兆 本店も偽装 九州産を「但馬牛」 社長辞任、菓子撤退へ 農水省改善指示西日本新聞

 高級料亭吉兆グループの船場吉兆(大阪市)が福岡市の百貨店・岩田屋で消費・賞味期限切れの菓子や総菜を販売するなどしていた問題で、新たに、大阪市の本店などでも九州産の牛肉を「但馬牛」とするなど産地や原材料を偽装していたことが9日、農水省の調査で分かった。同省は同日、日本農林規格(JAS)法の加工食品品質表示基準違反で行政処分し、不当表示の改善などを指示した。これを受け、湯木正徳社長と湯木尚治取締役が大阪市内で会見し、近く辞任するとともに、菓子類販売からの撤退を表明した。

 会見で湯木社長らは、偽装への経営陣の関与を否定した。これに対し、農水省は違反事実の調査は終えたものの、会社ぐるみの偽装がなかったかなど真相解明に向けて、調査を始める方針だ。

 調べでは、同社は本店などで3月から10月に販売した「牛肉みそ漬」(450グラム、2万円)など3商品に佐賀、鹿児島両県産の牛肉を使用しながら、包装には「但馬牛こがねみそ漬」と表示し、102個を販売。

 本店と心斎橋店(大阪市)などでは少なくとも2004年ごろから鶏肉加工品の原材料に国産ブロイラーを使いながら「地鶏こがねみそ漬」(500グラム、9000円)、「地鶏すき焼き」(同1万円)として計449個を販売した。

 具体的な販売店について吉兆は「把握していない」としている。

 菓子類では、岩田屋の「船場吉兆天神フードパーク」で昨年1月から今年9月にかけ販売した売れ残りの菓子や総菜計12種類の消費・賞味期限シールを改ざん。この間に販売した計1万1745個のうち3439個の表示が偽装だった。賞味期限切れは7品目で、最長は「栗(くり)の甘煮」の117日間。消費期限切れは5品目で、最長は「桜ゼリー」の17日間。また「黒豆タルト」など7品目は着色料や食品添加物を記載しないなど原材料表示に不正があった。

 会見で湯木社長は「本来の材料が品薄になり、牛肉は仕入れ担当者の社員がやった。鶏肉は仕入れ業者が勝手にブロイラーを納入した」と、会社ぐるみを否定。湯木取締役も「福岡の偽装に社員は関与していない」と従来の主張を繰り返した上で、両者とも「いずれも経営陣は偽装を知らなかった」と強調した。

=2007/11/10付 西日本新聞朝刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000000-nnp-soci