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2007年11月10日(土) 15時03分

<船場吉兆>納入業者「元々地鶏扱わず」 会見と食い違い毎日新聞

 大阪市中央区の「船場吉兆」本店が原産地や原材料を偽装した肉類を販売していた問題で、同社に長年鶏肉を納めてきた京都市内の鶏肉専門店の経営者(63)が10日、毎日新聞の取材に「そもそも店では地鶏を扱ったことがなく、地鶏を吉兆に販売したことはない」と証言した。「船場吉兆」は9日の会見で「納品業者が途中から無断で地鶏からブロイラーに変更していた」と説明したが、大きく食い違う内容で、同社が原材料偽装の責任を納品業者に押しつけた可能性が浮上した。

 この業者は、創業が1890(明治23)年の老舗で、船場吉兆とは約14年前から取引があるという。経営者によると、注文は電話で受け、1回3キロ前後を1キロ当たり5500円で納品していた。納めるのは上質なブロイラー肉で、卸業者から仕入れたものをさばいてから納品していたという。

 今月上旬、農水省の調査過程で船場吉兆の湯木喜久郎取締役から頼まれ、産地証明を送った。すると、折り返し湯木取締役から「地鶏ではないのか。この値段で地鶏でないことはない」と再三質問を受けたという。

 「船場吉兆」の湯木正徳社長は9日の会見で、「地鶏のみそ漬け」の原材料が地鶏ではなく、ブロイラーになっていたことについて「地鶏として最初はスタートしたが、品不足になっていつの間にかブロイラーになっていた。業者を信頼していたのに裏切られた」などと説明した。

 この点について、鶏肉店経営者は「なぜ『地鶏で最初はスタート』などと言うのか、まったく分からない。吉兆ほどの料理の神様がそのような事を言うのは悲しい。うちが納めていた鶏肉が地鶏と表記されていたことに本当に驚いている」と語った。

 鶏肉の原材料偽装は、近畿農政局が吉兆の商品を調べる中で、それぞれの納入業者に照会して発覚した。農政局は、この店が当初からブロイラーだけを取り扱い、地鶏を扱っていなかったことを把握している。専門家が見れば、地鶏とブロイラーの肉質を見分けるのは容易とされることから、農水省は今回の偽装の悪質さを示すものとみて、今後さらに調査を進める方針だ。

 経営者は「農政局の方が店に来られたら、詳しく事情を説明したい」と話している。【食品偽装取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000061-mai-soci