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2007年11月10日(土) 02時30分

<クレジット>既払い金、返還可能に 経産省が法改正へ毎日新聞

 分割払いを利用して高額商品を売りつける悪質商法が横行する中、経済産業省は詐欺的な商法などの被害者がクレジット会社から既払い金を取り戻せるルールを割賦販売法改正案に盛り込む方針を固めた。被害救済に道を開くとともに、クレジット会社が悪質業者を加盟店にするのを控える効果が期待される。改正案を審議する産業構造審議会の割賦販売分科会基本問題小委員会に13日提案するが、救済対象をどこまで広げるかが今後の課題となる。【クレジット問題取材班】

 クレジット契約では、顧客は販売業者と売買契約すると同時に、クレジット会社と立て替え払い契約を結び、立て替え分を後からクレジット会社に支払う。現行法では、販売方法に問題があるなどして売買契約を無効にしたり解除した場合、顧客はその後の返済を停止することはできても、既払い金を取り戻すことはできない。

 経産省が返還対象に想定しているのは、顧客が買い物の都度、分割払い契約を結ぶ「個別商品分割払い式」。販売形態としては特定商取引法(特商法)の対象となる訪問販売、電話勧誘販売などで、業者が事実と違うことを告げて商品を購入させた場合に、既払い金を返還させる考えだ。同省は「悪質商法被害ではうそのセールストークで契約させられたケースが多く、かなりの被害者を救済できるのではないか」と話す。

 しかし、経営破綻(はたん)した英会話教室「NOVA」のように業者が倒産して商品やサービスが得られないケースや、全国的な被害を生んだ「ココ山岡」など店舗展開する業者による被害は返還対象にならない。

 悪質商法の規制強化策として、経産省はほかに、必要以上の商品やサービスを売りつけられた顧客が業者との売買契約を取り消せるよう特商法を改正する方針も打ち出している。

 【既払い金】 顧客がクレジット会社に既に支払った代金のこと。現行の割賦販売法では、クレジット会社が加盟店業者を管理する責任が明文化されておらず、業者の販売方法に問題があり刑事事件になっても、クレジット会社が顧客に既払い金を返還する義務はない。このため顧客が起こした民事訴訟でも、裁判所が既払い金返還を命じた判決はほとんどなく、和解金で実質的な被害回復を図る例が出ている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000013-mai-soci