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2007年11月10日(土) 02時37分

<加ト吉>関係機関を強制捜査へ「循環取引」問題で香川県警毎日新聞

 冷凍食品大手の「加ト吉」(香川県観音寺市)グループの「循環取引」問題で、香川県警捜査2課などは9日、一部の売買契約書などに偽造印が使われていた疑いがあるとして、週明けにも有印私文書偽造・同行使容疑で関係機関を強制捜査する方針を固めた。子会社の「加ト吉水産」(同)と売買契約書を結んだとする大阪市の商社や、同県内の貿易会社(事実上倒産)など関連すると見られる県内外の業者や個人宅などを捜索する見通しで、循環取引に初めて捜査のメスが入る。

 問題となっているのは、「加ト吉水産」と大阪市の商社との間で、06年5〜11月の計35回にわたって行われたとされる冷凍クリやサワラの切り身などの「取引」。計約70億円の売買契約書などに使われた加ト吉水産名義の印鑑が、明らかに通常のものとは字体が異なっているとされる。

 この「取引」を巡っては、商社が同12月に約70億円の未払い債権があることを加ト吉側に通知。うち約38億円分はみずほ銀行のSPC(特定目的会社)に売却しており、両者が加ト吉側に債権の支払いを求め、今年6月、大阪地裁に提訴。

 加ト吉側は、今年6月に出した3月期決算の報告書で「契約書に使用されている加ト吉水産の代表印、会社名・代表者名を表示するゴム印はいずれも偽造されたもの。売買契約は無効で、加ト吉水産の債務は不存在」などと主張している。

 加ト吉グループによる循環取引問題は、商品取引を装って伝票上だけの売買で架空の売り上げを計上する取引で、同社は6月、過去6年にさかのぼった修正で、連結売上高の水増し額が1061億円に上るとしている。偽造印が使われたとされる今回の取引はこの一部で、この他に、加ト吉の水産事業本部が県内の貿易会社などと行った循環取引や、同社東京特販部が愛知県の商社などと行った循環取引など計5種類あった。【三上健太郎、吉田卓矢、松倉佑輔】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000019-mai-soci