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2007年11月10日(土) 13時35分

11月10日付 よみうり寸評読売新聞

 そろそろ、お茶の間の棚の上に、未使用の年賀はがきの束が二つ、三つ…。忙しい人、筆無精の人には、憂鬱(ゆううつ)な季節かもしれぬ◆近年は、パソコンの年賀状作成ソフトと高性能プリンターが普及し、キーの操作で表も裏も一括印刷が可能だ。自宅で丸一日もかければ作業は終了。ずいぶんと楽になった◆時々、イライラさせられるのが印刷途中のインク切れだ。一色が使えなくなると機械そのものが停止する型も。交換用インクカートリッジを用意して臨む必要がある。その値段がバカにならない◆大手メーカーの使用済みカートリッジの再利用製品を、中国から輸入し販売していた会社に、最高裁が8日、「正規品の特許権を侵害した」の判決。“リサイクル促進”は時代の流れとしても、他社の特許製品への“ただ乗り”はダメ、というわけだ◆ただ、消費者にとっては、安いリサイクル製品も利益にかなう。機械を安く売り、消耗品は高くして稼ぐという大手の姿勢に、反省点はないか◆どれだけ便利な時代になっても、心を込めた肉筆の添え書きだけは忘れずにいたい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071110ig05.htm