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2007年11月10日(土) 15時38分

佐賀・鹿児島産明記の伝票、「但馬牛」と偽る 船場吉兆朝日新聞

 高級料亭を展開する船場吉兆(大阪市中央区)が牛肉や鶏肉の商品を偽装していた問題で、船場吉兆が「但馬牛」と偽っていた牛肉商品の取引伝票には、佐賀、鹿児島と産地が明確に記載されていたことが農林水産省の調べでわかった。また、「地鶏」と称した商品では、仕入れ先の取引伝票に「地鶏」の根拠が全くないのに、販売カタログに「京都地鶏」の商品名で販売していた。同省は船場吉兆が故意に産地偽装を繰り返していたとみている。

 農水省によると、「但馬牛」と偽っていた牛肉では、産地と銘柄が伝票に明確に記されていた。神戸牛や松阪牛など黒毛和牛ブランドの多くは「但馬牛」の血統を受け継いでいることで知られ、高級志向の顧客にアピールする狙いがあったとみられる。

 一方、同省が、船場吉兆の販売した鶏肉を伝票類から追跡調査したところ、京都市の鶏肉業者がさらに別の養鶏業者から仕入れていたことが判明。同省が供給元の養鶏業者の鶏舎を確認したところ、ブロイラー専門で、地鶏は一切扱っていなかったという。船場吉兆は「取引先には地鶏と注文した」と説明しているが、同省が取引伝票を確認したところ、「地鶏」との記載はなかったとされる。

 京都市内の鶏肉業者は、養鶏業者が鶏肉の種別を記した「出荷商品証明書」を船場吉兆に送っており、これにも地鶏との記載はなかったとしている。兵庫県三田市と篠山市で約5千羽の地鶏を育てる養鶏業、河南英昭さん(59)は、地鶏とブロイラーは肉の色や弾力性など、並べれば素人でも違いが分かると説明。「ブロイラーを地鶏と称すれば、利益は比べものにならない。分かった上でやっていたなら、消費者をだまし、一生懸命やっている業者も馬鹿にした話だ」と憤った。

http://www.asahi.com/national/update/1110/OSK200711100039.html