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2007年11月09日(金) 11時52分

W杯バレーに見るCMの裏側ツカサネット新聞

女子のW杯バレーボールが開催中である。私はバレーボール部だったし、バレーはやるのも見るのも大好きなのだが、今回のお話はW杯バレーを放送している番組中に流れる「CM」のことだ。

放送が延長にはいると、とあるスポンサーのCMが繰り返し流れることにお気づきであろうか。地方によっても流れるCMは異なる場合があるので私の言うことが当てはまらない地域の方もいらっしゃるかもしれないが、流れるのは冬になるとシチューがおいしい、あのスポンサーのCMである。数分間のCMチャンスのうち、なんと全てがそのスポンサーのCM。商品を変えて2パターンか3パターンのCMが繰り返し放送されるのだから、違和感も大。しつこいったらないのである。

そのからくりを説明しようと思う。CMというのはテレビ局の「商品」であり、テレビ局の収入はそのほとんどがCMによってまかなわれている。もちろんW杯のCMも例外ではない。多くのバレーボールファンとジャニーズファン(?)が番組を見ているのだから、宣伝効果は計り知れない。メインでついている自動車メーカーの車種をみると、女性ターゲットであることは容易に想像できると思う。

今回のように番組が延長に入った場合、予定外のCM枠が生まれることとなる。もともと売り物としてないはずのCM枠だから、前もって売ることができない。そこで登場するのが今回のようなスポンサーだ。

おそらく広告代理店もしくはテレビ局が、「もしも延長した場合」という前提でCM枠を売っていると思われ、金額と本数をあらかじめ相談してセールスしている可能性が高いのだ。だからそのCMは、番組中の延長以外の部分(当初予定されていた放送枠)には流れないし、バレーボールコートの脇の看板にも名前がでていない。「延長でしか流れないCM」なのだ。

実際に流れた本数を数えて後から金額を請求しているのか、もしくは何本流れても一定の金額で売っているのか、詳しいことはわからないが、あの流れ方を見ると、一社に延長分をまるごとセールスしているのだと予想がつく。

…というのがわかるのは、私が以前広告代理店に勤めていたからなのだが、CMというのは思った以上に複雑な売り物であることを私は勤めて初めて知ったのだった。テレビ局の売り物はあくまでもCM。番組はCMの視聴率をあげるための道具だといっても過言ではない。その視聴率によってCMの売値が決まってくる。だからこそ視聴率はテレビ局の生命線なのだ。

でも、よく考えて欲しい。視聴率は放送されたあとにしかわからない。それがどうして、未来に流れるCMの商品力として利用できるのであろうか? 簡単に言えば、今回放送された視聴率が次回もとれるとは限らないのである。それなのにどうして、半ば賭けのような形でスポンサーは莫大な金額を支払うのだろうか?

…答えは、それでしか売る方法がないから、というところであろうか。むしろそれが、ベストな売り方なのかもしれない。やはり、視聴率はスポンサーやテレビ局にとって大事な指標。今後も続いていくであろう、「得体の知れない数字と慣習」なのだ。

今度W杯を見るときはちょっとだけ注意してみて欲しい。延長分に流れるCMのスポンサーは、とても賢いCMの買い方をしている、有名な会社である。



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(記者:茶々丸)

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