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2007年11月09日(金) 10時47分

WLB(ワーク・ライフ・バランス)認証制度が発足ツカサネット新聞

今、格差社会が問題になっておりますが、なかでも正社員と(派遣社員・パート)間の賃金格差がその大きな問題であることは言うまでもないことです。この問題は徹底して取り組んで行かなければならないことでありますが、一方長時間労働化にある正社員の就業環境の整備も急がれるところであります。


=仕事と私生活を共存させるWLB(ワーク・ライフ・バランス)=

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この度WLB認証制度が今月(2007年11月)発足しました。この制度は、財団法人21世紀職業財団が開発したWLB企業診断指標(チェックシート)および認証基準に基づき、企業や事業所がWLBの取り組み度を自己診断し、WLB実現に向けての取り組みを進めることを奨励するものであります。

また希望する事業所に対しては同財団の審査認証委員会による審査を経て「WLB企業&事業所」として認証することになっております。認証された企業&事業所にはWLB認証マークが付与され、以後2年間を有効期間として同マークを使用することが出来ます。


<当事業の趣旨が次のように述べられております>
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「人口減少へ転じた我が国が今後も持続的に発展し、社会の活力を維持するためには、生産性の向上が不可欠であり、イノベーションに取り組み競争上の優位性を築いて行かなければならない。その原動力は人材の力であり、社員一人ひとりが働きがいと生きがいを感ずることができるよう、その能力の十分な発揮のための環境整備がこれまで以上に重要な経営戦略となっている」
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WLB(ワーク・ライフ・バランス)とは、仕事と仕事以外の生活がバランスの取れたものとなるような働き方を意味し、言わば豊かな職業人生を築き上げることを目指したものと言えます。


<当制度の特徴は>
1.正社員の労働時間・休日・休暇に最も重点を置いていること
2.実地審査により、認証基準の達成が実質的に確保されているかどうかを審査すること


<6つの視点を軸として策定>
・WLBに取り組むことが、経営・人事方針として明らかになっているか 。
・心身へ過大な負荷を与えるような長時間労働となっていないか 。
・仕事と仕事以外の生活との両立を困難にするような恒常的な時間外・休日労働が行われていないか
・休日・休暇など仕事から自由になる機会が確保されているか
・ 家庭責任としてもっとも就業に影響を及ぼす要因である育児・介護について、仕事との両立に配慮がなされているか
・社員の多様なニーズに配慮し、仕事以外の生活において自己実現を図ることを支援しているか

同財団では今回開始した制度について、一定レベルのWLB度を実現している企業を「社員を大切にするエクセレントカンパニー(優秀な企業)」として認証する仕組みであるようです。

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我が国は1980年代頃までは、会社中心主義の長時間労働が成功をもたらす、という産業構造で高度経済成長を支えてきました。しかしながら、1990年代に入り、バブル崩壊やIT革命が始まり、効率を最重要視した働き方に変化せざるを得なくなりました。加えるに、少子高齢化やグローバル化により、人材のローカライズが進み、国内の労働市場は次第に厳しい状況になってきております。

日本人が昔から持っている勤勉さは、一つの美徳であることに変わりはありません。高度成長期には、ただただ会社のために働くということが、引いては個人の生活も豊かにしてきました。しかし、このように環境が変化してきますと、労働時間の長さが成果に直結していないのが現状であります。

これから先も企業や個人の働き方についての模索は続くでしょうが、日本人の勤勉さという徳性を失うことなく、そして環境にマッチした個人個人の豊かな職業人生を築き上げるための努力が必要です。WLB(ワーク・ライフ・バランス)がその一助となり、効を発揮することを期待したいと思います。またこれが成功することにより、日本全体の労働環境の向上につながるのではないでしょうか。


(記者:浅香拓郎)

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写真撮影:浅香拓郎記者

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