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2007年11月09日(金) 10時13分

マドリッドは危険なのか?〜治安対策(2)ツカサネット新聞

個人的見解では、スリや置き引きに比べて、強盗対策は少し難しいように思える。
モノの本には、「人通りの少ないところへは行かない」とか「バッグは持たず手ぶらで」、「シエスタの時間(14時〜16時頃)に出歩いてはいけない」などとある。しかし、こちらに住んでいれば学校へ行くにも、仕事へ行くにも、買い物をするにもバッグなしで移動することは難しい。場合によっては人通りが少なくても、シエスタの時間帯でも、外出が必要なケースもある。

勿論、「人通りの少ないところへは行かない」や「バッグは持たず手ぶら」、「シエスタの時間に出歩かない」なども、重要な対策ではある。遵守できるときは、極力遵守したほうが良い。

しかし、これらの実践が難しい時には、こういった状況下では特に注意し、緊張感を持って周囲に気を配りながら歩き、極力被害に遭わないように心がけるしかない。具体的には後を付けて来る人がいないか、強盗が待ち伏せしていそうな死角がないか常に気を配りながら極力そんなところを避けて通る、といった程度の対策しかできないだろう。何しろ相手は強盗である。いくらこちらが注意しても、被害が避けられない場合もあるだろう。むしろ最悪被害に遭っても、最低限の被害で済むように不必要に貴重品を持ち歩かないことも重要かもしれない。

実際、旅行中に被害に遭ったA氏も、ちょっとホテルを出て夕食に行くのに、パスポート、多額の現金、複数枚のクレジットカード、トラベラーズチェック、航空券など全部の貴重品を持ち歩き、そのため強奪によってすべてを失い、ホテルに帰るための交通費、日本領事館に助けを求めるための電話代すら、持たずに途方にくれてしまったのである。

例えば、クレジットカードは複数枚同時に持ち歩く必要ないし、クレジットカードがあるなら多額の現金は必要なかった。トラベラーズチェックは、スペインでは基本的に銀行などで現金化する以外の使い道はない為、銀行営業時間もとっくに終わったその時間にトラベラーズチェック全額を持ち歩いても使い道はない。ましてや、レストランやバルで航空券が必要になるとは考えにくい。彼がもし、それらのうちどれか一つでもホテルに保管し、被害を免れていれば、まだ状況は違ったものになったはずだ。

このように、特に旅行者は一切合財を同時に盗られてしまうリスクを抑えるために、分散して保管するということも考えた方がいいだろう。ホテルの部屋やフロントのセキュリティーボックスに預けるもの、持ち歩くもの、さらに持ち歩くものも、バッグ、ポケット(但し後ろポケット以外)などに分散して持つことも有効だろう。多少の小銭や緊急連絡先リストなどは内ポケットや前ポケットなどに忍ばせておくといざと言うときには役に立つかもしれない。

また、そのように持ち物を分散して持つ場合、同じ場所に持たないほうがよいものについても考慮が必要だ。例えば、トラベラーズチェックとその番号の控えなどがそれにあたる。トラベラーズチェックが盗難にあっても、番号の控えがあれば24時間以内に再発行が可能であるが、番号も一緒に奪われてしまえば元も子もない。

旅行者にとって、多少やっかいなのは、クレジットカードとパスポート。こちらではクレジットカードを使うにしても身分証明を求められるため、パスポートの携帯が必要なのだ。以前は日本人のパスポートの盗難被害が多かった為、日本人に限ってはパスポートはコピーで代用すること許されていたが、最近はほとんどの場面でオリジナルの提示を求められる。そのため、特にクレジットカードを使いたい場合は、同時にパスポートを持ち歩かざるを得ない。それでも、それらをポケットとバッグに分けて持つなど、同時に奪われる可能性を少しでも低くする努力はしたほうが良い。逆に言えば、それらを同時に手に入れた犯人は、クレジットカードの悪用が非常に簡単になるからだ。

マドリッドは、美術館めぐりにバルめぐり、ショッピングに散策にと非常に楽しい都市である。治安を心配して外出を控えたり、被害に遭うことを怖れすぎて、マドリッドを満喫できないのは大変惜しいことだと思う。しかし被害に遭ってしまったら、せっかくの楽しい滞在も台無しになってしまう。だからこそ旅行者には、現状を正しく把握し、適切な判断と、適切な対策をしつつ、安全な旅を楽しんで欲しい。




<最近の犯罪手口と被害状況をチェック>
在スペイン日本大使館 2007年日本人被害状況レポート(過去一ヶ月)

<<万一被害に遭ったら>>
■マドリッド 中央警察署 外国人旅行客向け対応サービス(S.A.T.E.)>>
受付時間 9:00-22:00
住所 C/Leganitos 19 (スペイン広場隣)
最寄り駅 メトロPlaza de Espan~a
※被害届24時間電話サービス(日本語受付08:00-00:00)
90 210 2112

■在スペイン日本大使館
受付時間 平日09:00-13:30 / 15:30-17:00
但し、事故などの緊急の場合は、夜間・休日を問わず受付時間以外にも対応
住所 C/ Serrano 109
電話 91 590 7600 (大使館代表)
91 590 7614 (領事部直通)

「安全情報−犯罪被害にあったら」

マドリッドは危険なのか?〜治安対策(1)



(記者:沢村奈津)

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