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2007年11月09日(金) 17時00分

50年以上も「朝鮮戦争」が終わらない理由とは?R25

ちょうど1カ月まえ、韓国の盧武鉉大統領と北朝鮮の金正日総書記が会談し、南北共同宣言に署名した。南北関係を良くしようとするアイデアがいろいろと盛りこまれたものだったのだが、びっくりしたのは、この宣言に「朝鮮戦争終結へ協議」という項目があったこと。そう、知らない人も意外に多いんじゃないかと思うが、じつは「朝鮮戦争」って、まだ終わってなかったらしいのである。

そもそも朝鮮戦争とはどんな戦争だったのか。1950年当時、資本主義陣営と共産主義陣営は世界中で対立を深めていた。いわゆる冷戦というやつで、その最前線のひとつとなったのが、第2次世界大戦で日本が敗戦したあと南北に分断された朝鮮半島だった。韓国を支援するのは米国で、北朝鮮を後押しするのはソ連や中国。そんな状況のなか、6月に北朝鮮が韓国に侵攻、そうしてはじまったのが朝鮮戦争で、一説に南北で100万人以上の死者がでたという。だが3年後、米国などの国連軍と北朝鮮、中国の3者が韓国映画でおなじみの「板門店」で休戦協定に署名、これによって戦争は終わりを告げる…はずだったのだ。

ところが戦争は終わらなかった。その理由は、休戦とはあくまでも戦争の一時的停止にすぎないから。じつは、当時の休戦協定では発効後3カ月以内に交渉をおこない、平和的解決について協議することになっていたのである。しかし米国とソ連の対立などによって協議はその後もずっと中断し続け、その結果、本来なら3カ月以内に解決されるはずのものが、なんと半世紀以上もそのままになってしまったというわけだ。

もっとも、軍事的には対立しているが、南北の経済交流はどんどん進み、97年には休戦から44年ぶりに当事国による協議もおこなわれた。今回の共同宣言もそうした流れのひとつなのだが、そこには北朝鮮の核問題なども横たわり、交渉は簡単には進まない。日本にとって「近くて遠い国」なんていわれてきた南北朝鮮だが、その平和も近くて遠いのかもしれない。
(R25編集部)

「朝鮮半島和平にむけたおもな経緯」を見る

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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