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2007年11月09日(金) 17時00分

独立行政法人を民営化するといったい何が変わるの?R25

独立行政法人の見直し作業が急ピッチで進んでいる。これはいわゆる骨太の方針2005にもとづいた措置で、すべての独立行政法人を一から見直し、投入されている補助金や運営費交付金などを民営化して削減しようというのである。そして、本年中には「独立行政法人整理合理化計画」として方針がまとまる予定になっているのだ。

しかし、各独立行政法人を所管する省庁は、民営化には消極的で、行政改革推進本部から整理合理化案を提出するよう求められても、新たに整理の対象として挙げたのは、すでに廃止が決まっていた緑資源機構だけと、事実上のゼロ回答。また、聖域を設けず、すべての見直しを進めたため、「造幣局や国立印刷局などは民営化に適さないのでは?」と、民主党や社民党などからも反対の声があがるなど、紆余曲折が予想されている。

そもそも国民の生活や経済には不可欠だが、民間ではやれない、あるいは、やらない事業を行う名目で誕生したのが、独立行政法人だ。そして完全に民営化しないかわりに、コストの削減目標や厳格な外部評価を導入して、廃止を含めた組織や業務の見直しも3〜5年ごとに行うなど、すでに効率化を進めてきたという背景がある。

外部評価に携わってきた学習院大学経済学部の奥村洋彦教授もこう指摘する。

「効率化するという方針には私も賛成ですが、独立行政法人はすでに厳しい外部評価を受けています。しかもそのすべてが公開されているという点では、民間企業以上の厳格さです。また、民営化されれば、会社になるわけですから、利益を追求しなければいけなくなります。硬貨や紙幣を製造する造幣局や国立印刷局が民営化になじまないのはいうまでもないでしょう」

民営化=○、独立行政法人=×という初めから民営化ありきの議論ではなく、ひとつひとつの事業内容を吟味した冷静な対応が政府には求められているのである。
(R25編集部)

「財政支出の削減額が大きかった法人」を見る

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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