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2007年11月09日(金) 09時56分

小学女児殺害 ヤギ被告の控訴審初公判 広島高裁毎日新聞

 広島市で05年11月、下校途中だった小学1年の木下あいりちゃん(当時7歳)が殺害された事件で、殺人、強制わいせつ致死などの罪に問われ、1審・広島地裁で無期懲役(求刑死刑)の判決を受けたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(35)の控訴審初公判が8日、広島高裁(楢崎康英裁判長)であった。検察側は「性犯罪を伴う殺人事件の罪質は従来より重くとらえる必要がある」などと改めて死刑を求めた。弁護側は、1審同様に殺意やわいせつ目的はなかったとし、「強制わいせつ致死や殺人罪が成立するとしても、無期懲役は不当に重い」と主張した。
 検察側は、強姦(ごうかん)など性犯罪の法定刑が厳罰化されたことを挙げ「金銭欲でも性欲でも、自己の欲望を満たす手段として人の命を奪うことに差異はない」と悪質性を強調。「極刑が真にやむを得ない事案」と指弾した。
 また、1審で証拠採用が却下された前科について、ペルーでも過去2回女児に対し性的暴行で訴追された前歴があると主張、証拠申請した。
 一方、弁護側は、被告に悪魔が入ったことによる犯行で、被告は殺意・わいせつ目的を否認していると主張し、1審で却下された精神鑑定を申請。責任能力について、誰にでも目撃される屋外で犯行に及んだとして「常軌を逸している」状態だったと説明した。
 高裁は、検察側の求める前科に関する資料の証拠採用、弁護側の求める精神鑑定、情状鑑定の実施をいずれも留保した。
 1審判決によると、トレス・ヤギ被告は05年11月22日、広島市安芸区の自宅アパートかその付近にあいりちゃんを連れ込み、性的暴行を加えるなどし、手で首を絞めて殺害。室内にあった段ボール箱に遺体を入れ、近くの空き地に放置した。
 次回公判は1月29日。弁護側は独自に依頼した法医鑑定人の証人尋問、検察側は被告人尋問を行う予定。【井上梢】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071109-00000008-maip-soci