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2007年11月09日(金) 01時15分

ブラウン管で価格カルテル、公取委が松下子会社を検査読売新聞

 テレビなどに使われるブラウン管の販売を巡り、国際的な価格カルテルが結ばれていた疑いが強まり、公正取引委員会は8日、松下電器産業の子会社「MT映像ディスプレイ」(大阪府高槻市)を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査した。

 カルテルには、同社のほか、韓国や香港、台湾のメーカーも加わった疑いもある。韓国の公取委も同日、サムスン系列のメーカーの調査に着手したとみられるほか、欧州委員会も現地法人の調査に乗り出した。

 関係者によると、MT映像ディスプレイは遅くとも2005年ごろから、製造工場のある東南アジアで、韓国のメーカーなどと複数回にわたって会合し、アジア市場で目標とするブラウン管の販売価格を話し合った疑いが持たれている。

 ブラウン管はテレビやパソコンのモニターに使われている。日本や欧州では近年、液晶に取って代わられ、各メーカーは相次いで生産規模を縮小しているが、中南米やインド、中国などでの需要は根強い。

 MT映像ディスプレイは03年、松下電器産業と東芝が海外のブラウン管事業を統合する形で発足し、今年3月に松下電器産業が完全子会社化した。生産しているのはテレビ用で、国内外の家電メーカーに販売。製造拠点はかつては海外に8か所あったが、現在は中国など3か所に絞られている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)によると今年9月時点で、国内で出荷されたカラーテレビのうち、ブラウン管の割合は5・1%。ブラウン管を製造しているのは主にアジア各国のメーカーで、06年の日本国内市場は約30億円、世界では約5000億円に上る。

 親会社の松下電器産業は「公取委の立ち入りがあったのは事実。詳細は答えられないが、当局の調査には引き続き協力していく」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071108i516.htm