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2007年11月09日(金) 10時14分

<米大統領>拒否権覆され法案成立 求心力低下印象付ける毎日新聞

 【ワシントン及川正也】米上院は8日の本会議で、ブッシュ大統領が拒否権を行使した水資源開発法案を3分の2以上の賛成で再可決した。下院では6日に圧倒的多数の賛成で再可決しており、7年間のブッシュ政権下で初めて拒否権が覆され、法案は成立した。共和党議員の多くが大統領と敵対した形となり、ブッシュ政権の求心力低下を印象付けた。

 これを受けて民主党は記者会見し、「大統領の思うがままにはならないことを議会が示した」(バーバラ・ボクサー上院議員)と「勝利」を強調した。

 同法案はダムや下水処理場、海浜整備やハリケーン対策のための南部沿岸部整備、湿地整備などを柱とする典型的な「地元利益誘導型」の公共事業関連法案。歳出規模は総額230億ドル(約2兆6000億円)。審議過程で上院で80億ドル、下院で90億ドルが上積みされた。

 ブッシュ大統領は今月2日、「歳出規模が巨額過ぎる」として議会を通過した同法案に拒否権を行使した。下院は賛成361、反対54、上院は賛成79、反対14で拒否権を無効にできる3分の2以上の賛成を確保した。

 ブッシュ大統領は同法案を含め、米軍撤退期限付きイラク補正戦費法案、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究拡大法案(2回)、子供向け医療保険延長法案に対してこれまで計5回の拒否権を行使した。

 拒否権が覆されたのはクリントン政権時の98年2月以来。上院事務局によると、クリントン政権では37回拒否権が行使され、うち2回覆された。ブッシュ父政権では拒否権行使44回のうち、覆されたのは1回だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071109-00000029-mai-int