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2007年11月09日(金) 18時44分

読売・渡辺さんは政治から手を引け【この週刊誌がすごい】オーマイニュース

 政界の一寸先は闇とはよくいわれるが、福田・小沢会談で飛び出した「大連立」にはビックリした。ビックリ度でいえば、野に下った河野洋平自民党総裁(当時)が村山富市社会党委員長を首相に担いで、形振り構わず政権奪取をしたとき以来だろう。

 小沢氏はこれまでも、自民党を飛び出して細川政権をつくったが、突然の細川殿のご乱心もあって連立政権を崩壊させてしまった。その後、小渕恵三自民党総理と組んで自自公連立政権をつくるが、これまた、小渕首相が小沢氏との会談後、脳梗塞で倒れるというハプニングで、政権から飛び出ている。

 “壊し屋”としては小泉純一郎元首相など足元にも及ばない豪腕である。だが悲しいかな、このお人、短気で大変なジコチュー。自分の思い通りにならないと嫌気がさし、すべてをほっぽり出す癖がある。今回も、福田首相との密談で出た「大連立」構想が、民主党内で全面否定されると、代表という立場もわきまえず、辞任表明の記者会見を、勝手に開いてしまった。

 さらにみっともないのが、慰留されると、前言を翻して、次回の総選挙で政権奪取するために全力を尽くすなどと、平気でいってしまうことだ。この人の辞書には「汗顔の至り」という言葉はないようだ。

 確かに、アメリカの植民地として戦争協力するのではなく、国連を中心にして自衛隊を海外派兵していこうという小沢主義を、福田自民党が全面的に支持するというのだから、彼にとっては、してやったりだったのだろう。どちらも憲法違反の疑いありという批判など、この二人には馬耳東風なのだ。

 しかし、小沢氏の留任で、この騒動が収束しないのは、この首脳会談も大連合構想も、一メディアにすぎない読売新聞の渡辺恒雄主筆の筋書きだったことが明らかになったからだ。

 新潮は、「誰が『小沢一郎』を葬ったか」という特集を組んで、会談の内容を読売にすっぱ抜かれたことを、会見で怒りまくった小沢氏に、「渡辺氏のしたたかさに今頃気づいても、アトの祭りですよ、小沢さん」とすげない。しかも、リードには「政治家・小沢一郎は死んだ。それは厳然たる事実である」とまで書いている。

 一方の文春は「小沢一郎『逆ギレ辞任』の真相」として、小沢に厳しいのは同じだが、やや手加減している。今回、慰留を受けたのは、「ようやくすこしだけ大人になったのでしょう。ただ基本的には、わがままで幼児のような性格は変わらないと思う」と側近の一人にしゃべらせている。

 厳しい筆先は、政治を私物化し、我が物顔に引き回しているナベツネこと渡辺氏に向いている。今回の大連立を民意に反するといいきり、「何様のつもりか知りませんが、『公称一千万部』をバックに国政を振り回すのは、もうおやめになった方がいい」と、別の新聞社のデスクにいわせている。

 「オーマイニュース」と同じ市民メディアの「JANJAN」に「私は読売新聞の購読やめました〜『読売・世紀の誤報』と報道機関としての良心」という記事が載っている。

 「不読・不買の理由は、今回の『自民党と民主党の大連立というドタバタ劇』での読売新聞並びに、読売新聞会長で主筆を務める渡辺恒雄氏の果たしたフィクサー的役割についての素朴な憤りからだった」。

 今回の空騒ぎで大きな痛手を被ったのは、民主党と小沢氏だけではなく、渡辺恒雄氏が率いる読売新聞というメディアの信頼度なのだ。

 馬鹿騒ぎの陰で霞んでしまったが、現代の「“ワイセツ合コン市長”中田宏氏の『公金横領疑惑』と『黒い人脈』」がおもしろい。これは先週号からの第二弾で、筆者は「オーマイニュース」にも関わってくれている青木理氏。

 中田市長は、衆議院議員から転身して37歳で政令指定都市の市長になった、政界のホープだ。このホープ氏が、さわやかな外面と違って、女関係にだらしがないというのだから、人間はおもしろい。第一回が出てすぐ、マスコミ各社へFAXを送りつけ、「週刊現代を名誉毀損で提訴する」といった翌日、“出張”と称してアメリカへ旅立ってしまったそうだが、この辺り、昔の小沢一郎と似ているようだ。

 「スッポンの現代」といわれる週刊誌が、このホープ氏をどうやって追い詰めるのか、見物である。

追記

 月刊誌だが「クーリエ・ジャポン」創刊2周年号がおもしろい。中田英寿責任編集と銘打たれた今号は、丸ごと中田テイストにあふれている。

(オーマイニュース編集長:元木 昌彦)

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