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2007年11月09日(金) 14時44分

仙台地下鉄工事差止め控訴審、高裁は棄却オーマイニュース

 仙台市が疑惑の需要予測で進める、地下鉄東西線の建設工事に関する公金支出差止め訴訟。その控訴審判決が、10月30日、仙台高裁の小野貞夫裁判長(大垣貴靖裁判官、小池あゆみ裁判官)より言い渡された。

 それは、一審判決を支持し、仙台市民オンブズマンの差止め請求を棄却する内容で、裁判官の判決を聴きに集まった仙台市民を突き放した判決で、落胆と怒りと虚しさが法廷を凍りつかせた。

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 判決後に仙台市民オンブズマン(吉岡、小野寺、斉藤、十河各弁護士)は記者会見を行い、市当局が地下鉄東西線事業の根幹である需要予測の算出データを恣意的に10年古い調査結果を使用して、より確からしい最近のデータで計画を見直さない行政態度(参照記事、参照記事その2)を、小野裁判長が容認したことに対して、深い怒りと失望の念を表明した。

 主権者たる市民は、未だに市当局から地下鉄事業の将来像の正しい改定を示されないままであり、市長と事業主である交通局がこのまま、過去の間違った需要予測で工事を進めた場合、市民を欺いたことになるのではないか。

 地下鉄計画を立案し工事を進める事業主。始めから、あるいは途中から赤字になることが分かったのに、市長あるいは市長を応援する支援者の利益のために事業を推進した結果、地下鉄開業後に大赤字を出し、結果的に市民に多大な損害を与えた場合、公務委員の背任罪が成立するのではないだろうか。

 人事権で交通局をコントロールしている市長が同罪、いや首謀者として重い罪を負うことは間違いない。政治家と公務員にこのくらいの罰を科さなければ、行政の無駄使いはなくならない。

 この観点から、仙台高裁の小野貞夫裁判長及び、大垣貴靖裁判官と小池あゆみ裁判官は、主権者たる市民の正義の味方ではなかったようだ。

 市民の多数が真実を知らないことをいいことに、権力者が悪事を続けることを容認する事態を招き、社会悪を正すという、司法権力の民主主義における役割を忘れた判決ともいえる。せめて、このまま最新の事業予測を市民に説明しないで、事業を進め、結果的に事業破綻した場合の事業推進者は、市民に対して損害賠償の責任を負う可能性を言及してほしかった。

(記者:加藤 隆)

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