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2007年11月09日(金) 10時00分

「図体ばかりデカくて…」と酷評されるメガバンクのお寒い内情日刊ゲンダイ

 金融危機から早いもので10年。あの当時、拓銀も含めると10行あった都市銀行は、今やメガバンク4行に集約された。「あさひ」とか「さくら」なんて銀行があったことを知らない世代も増えている。なにしろ、大手銀の中で、単独で生き残っているのは住友信託銀だけなのだ。
 問題はこの10年で、銀行の体力と質がどれだけ改善されたかだ。
「公的資金注入をきっかけにリストラが進み、不良債権比率も欧米並みに低下した。しかし、これだけずうたいが大きくなったにもかかわらず、時価総額で見ると国内最大手の三菱UFJでさえ世界20位前後で、中国勢にも負けている。欧米勢に比べると、収益力や金融技術では大人と赤子の差があるのが現状です」(金融ジャーナリスト)
 そんな折、5日、シティグループが東証1部に上場した。初値は4580円とNYの終値(先週末)より250円も上回った(終値は4550円)。
 それに引き換え、メガバンクはボロボロだ。三菱UFJは35円安の1017円。みずほは60万円の大台を割り込んで58万9000円。三井住友も2.5%下げ84万6000円だった。株価低迷に有効策を打てないでいるのが現状。株主はたまらない。
 欧米大手がサブプライム・ショックで深い傷を負ったいま、メガにとっては「欧米勢との差を詰める好機」(みずほ首脳)のはず。ところが、「ずうたいは大きいが、リスクはまったく取れない」(日銀OB)と酷評されるメガにその力はない。
「それどころか、コンプライアンスに引っかかる不祥事ばかりしでかして、信用を落としているのだから救いがない。10月30日付のフィナンシャル・タイムズは、米大手JPモルガン・チェースが邦銀買収の検討に着手と報じました。あおぞらや新生が標的とみられていますが、うかうかしていると再び金融大激震の事態になりかねませんよ」(前出のジャーナリスト)
 10年経っても大した進化はない、ということか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071109-00000013-gen-ent