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2007年11月08日(木) 21時55分

インクカートリッジ再利用は特許侵害、キヤノンの勝訴確定読売新聞

 プリンター用の使用済みインクカートリッジのリサイクル販売は特許権侵害に当たるとして、「キヤノン」(東京都)が、オフィス用品販売会社「リサイクル・アシスト」(同)にリサイクル製品の販売禁止などを求めた訴訟の上告審判決が8日、最高裁第1小法廷であった。

 横尾和子裁判長は「特許製品を加工することで、新たな特許製品を製造したと認められる場合は特許権を侵害する」との初判断を示した上で、販売禁止などを命じた2審・知財高裁判決を支持、アシスト社の上告を棄却した。キヤノンの勝訴が確定した。

 リサイクル製品の特許権侵害を巡る最高裁の判断は初めてで、他の製品も含め、リサイクル業界に影響を与えそうだ。

 判決によると、キヤノンは2002年にカートリッジ内部にスポンジを詰め、インク漏れを防ぐ技術の特許を取得した。アシスト社は、キヤノン製の使用済みカートリッジに、インクを再注入したリサイクル製品を中国から輸入し、無断で販売した。

 判決は、リサイクル製品が特許権を侵害するのは、特許製品の「新たな製造」に該当する場合と指摘。「新たな製造」に当たるかどうかは、<1>製品の性質<2>加工などの形態<3>取引の実情——などを総合的に考慮して判断すべきとした。

 問題のリサイクル製品については、「インクの補充にとどまらず、カートリッジの特許部分の機能を回復させている」とし、「特許製品を新たに製造したと認められる」と結論づけた。

 1審・東京地裁は「インクの再注入は新たな製品の生産とは言えない」とキヤノンの請求を棄却したが、2審は昨年1月、特許権侵害を認め、キヤノン側逆転勝訴の判決を言い渡した。

 リサイクル・アシスト代理人の話「判決は残念だが、既に加工の方法を変えており、今後のリサイクル製品への影響はない」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071108it12.htm