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2007年11月08日(木) 00時00分

オリジナルのレシピ投稿で調理ノウハウを流通読売新聞

 食欲の秋到来——。多彩な食材をどう調理しようか迷ったら、29万品ものレシピがある投稿サイト「クックパッド」を参考にするとよいかもしれない。サイトを運営する佐野陽光社長に話を聞いた。

人気レシピ中心にコミュニティーも

佐野陽光   さの・あきみつ
クックパッド代表執行役社長
1973年東京都生まれ。97年慶応大環境情報学部卒。同大在学中にインターネットを使った野菜の流通サービスを立ち上げるなどした後、卒業後の97年10月に「クックパッド」の前身となる「コイン」を設立。98年からレシピ投稿サイトの運営を始める。
——レシピの投稿サイトを始めたきっかけは何ですか?

佐野 「料理を楽しくしたい」という思いから、始めました。レシピは、生活の知恵。しかし、豊かな食文化と多種多様な食材がある日本で、多くの調理法が死に絶えつつあると聞いています。生活様式の変化や核家族化で、「家庭の味」が次の世代に伝わらなくなっているからでしょう。

 クックパッドは、利用者にオリジナルのレシピを投稿してもらい、調理ノウハウを流通させるサイトです。たくさんのレシピを集めて、料理そのものの楽しみを知ってもらおうと考えました。

——現在、どのくらいの人が利用しているのでしょうか?

佐野 サイトを始めてから約10年で、レシピは29万品以上あります。現在、月間300万人が利用していますが、その97%が女性です。中でも比較的若い方が多く、8割が20〜30歳代です。

 利用者は、頻繁に投稿する「パワーユーザー」(1万人)、料理の感想を書き込む「ヘビーユーザー」(5万人)、閲覧のみの「一般ユーザー」(294万人)に大別されます。パワーユーザーや人気レシピを中心に、さまざまなコミュニティーもできています。

 利用者の約4割は、ほぼ毎日のようにクックパッドを見ています。こうした人たちにとっては、このサイトはまさに「生活必需品」。宣伝にお金はかけていませんので、利用者の口コミで評判が広がっているのだと思います。

——なぜそれだけ支持されているのでしょうか?

佐野 面白いだけでなく、役に立つからではないでしょうか。利用者からは「クックパッドを知ってから安心して買い物ができるようになった」と言われています。

 例えば、パンプキン・パイを作ろうと思っても、ほかのカボチャ料理を知らないと、カボチャを余らせてしまう。でも、クックパッドを見れば、他の料理を作って丸ごと使いきれる。安心して買い物ができるわけです。「以前は夫のパソコンを使っていたけれど、クックパッド用に自分のパソコンを買った」という声もたくさん寄せられています。

——10年の間に、投稿内容に変化はありましたか?

佐野 利用者から寄せられる文章や写真が、年々向上しています。顕著なのは、料理がおいしそうに見える写真が増えたことです。他の利用者の写真を参考にすることで、技術が向上したのだと思います。味を表現する文章も洗練されてきて、レシピを探すのがますます楽しくなりました。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20071108nt0d.htm