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2007年11月08日(木) 10時00分

会社の「偽装」を知ってしまったらどうするか?日刊ゲンダイ

 毎日のように発覚する食品偽装。いったんバレると、製造・営業の中止などの処分だけでなく、消費者にそっぽを向かれて会社の存続すら危うくなる。「ウチでも同じようなことをやっているけど……」と心配な社員も少なくないんじゃないか。自分の会社の「偽装」「不正」を知ってしまったらどうしたらいいのか——。

●文書で上司に訴える
 この6〜9月の食品偽装や不正表示に関する農林水産省への内部告発は、昨年同期と比べて3倍近くに達している。しかし、長年勤めた会社で、商品に愛着もあれば、いきなり内部告発というのもためらう。その前に何かできることはないか。リスク・ヘッジ代表の田中辰巳氏は「2つの方法が考えられる」という。
「まず、直属の上司に訴えることになるでしょうが、その時は口頭だけではなく、偽装の事実や改善策などを文書にもまとめて渡します。文書にすることで真面目に会社を心配していることが伝わるし、発覚したときに責任を押し付けられることもなくなります。また、少しでも早く改善策を立てさせるには、“お客さんからこんな電話がありました”“偽装を保健所に言うとメールが入っています”と言ってみる。事前にネットカフェからメールしなければなりませんが、こういうときはウソも方便です」

●職場仲間とミーティングで
 ひとりで訴えたのでは無視されかねないし、幹部ほど偽装に深くかかわっている可能性が高いから、疎んじられるかもしれない。
「上司や幹部と1対1の酒の席などではなく、少なくとも自分のほかに2〜4人ぐらいの職場仲間がいるミーティングで取り上げるといいでしょう。それも“こんなこと許されません”と追及するのではなく、“大丈夫なのでしょうか”と心配してみせる。何人かを前にしたら、上司や幹部も“どうということないよ”と無視はできません。ただ、あまり大人数の会議で取り上げるのは考えもの。騒ぎを大きくしようとしているとみられてしまうからです」(ビジネス評論家・山下勝也氏)

●部下から訴えがあったら…
 逆に部下からそうした相談や報告を受ける立場だったらどうするか。
「部下がやったように、今度は自分がさらに上の幹部に同じように訴えることです」(田中辰巳氏=前出)
 しかし、言ってきたのがパートや派遣社員だったら、内部告発を覚悟しなければならない。ただちに社内調査をして、偽装があったことを一刻も早く公表するようトップに迫る。それが唯一、会社を守り、事件化したときには自分を守る道だからだ。

●役所以外に内部告発
 自ら偽装を指示するような社長は、こうした社内の声に耳を傾けようとしないだろう。
「その時は匿名で内部告発するしかありません。告発先は役所とは限りません。労働組合がしっかりしていれば組合でもいいし、食品問題に取り組んでいるNPOも多いですから、そういうところに相談するのもいいでしょう。組合ならば外部で大騒ぎになる前に対処できるかもしれません」(山下勝也氏=前出)
 偽装が露見してからでは、何をやってももう遅い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071108-00000004-gen-ent