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2007年11月07日(水) 12時18分

大連立は消費税率アップの布石だツカサネット新聞

最近の世論調査を見ると、消費税率アップに対する賛成と反対の意見が同じくらいの割合になって来た。やはり、日本国民というのは救い難いというのが、僕の率直な感想だ。

財政赤字の解消や将来的に伸びる社会保障費の増加を考えれば、消費税率アップも仕方がないというのが、賛成する人の理由のようだ。しかし、貧困世帯の中には、これ以上物価が上がれば生活できない人々がいる。行政は今もできる限りの予算を獲得し、期間内にそれを使い切るしかことしか考えていない。予算に余裕が出れば、裏金にしたり、不正支給をして私腹を肥やすのがこれまでの行政のやり方だ。今も3%から5%に負担増をした消費税を支払っているにもかかわらず、それによって日本の財政が改善されたなどという話は聞いたこともない。

そこで税率をアップさせ、日本が救われると考えられる神経が信じられない。僕には、さらに貧富の差が広がって、殺伐とした日本になるようにしか思えない。ここに来て、日本国民の救い難さを感じるのは、1つにはこの消費税の問題、そしてもう1つが、先の参院選で日本国民が、政権投げ出しの自民党に対する批判を小沢民主党へと向ける程度の政治行動くらいしか示せなかったことである。

日本には「2大政党制」などという政治状況は生まれない、というのが以前からの僕の持論だ。仮に一時的に2大政党の時代を迎えたとしても、それは党利党略の政争に終始し、2大政党では国民のための政治など期待できないことは、昭和初期の歴史が証明している。政治家の興味が政策ではなく、1に選挙、2に政権、3、4がなくてその次に政策であり、国政が地域の利権と結びついている状況の中で、政策本位の「2大政党制」など日本に実現すると考える方がおかしいのではないか。そして、民主党自体が政策集団ではなく、政権を獲りたいだけの烏合の衆集団だとしたら、一体、民主党に何が期待できるだろう。

僕は以前、ツカサネット新聞で「福田首相、あなたは何をぶっ壊すのですか?」という記事を書いた。ここで僕は「福田政権が今、不十分な小泉政権の改革を引き継ぎ、政官の既得権益をぶっ壊すことがなければ、大連立になろうと、2大政党の政権交代の時代になろうと、ぶっ壊れるのは、国民の政治への期待である。衆院3分の2でもできないこと、ねじれ国会でもできないことが、今後の政治状況でできるのだろうか」と書いた。今の政治状況の中で福田政権は、見事に2つのものをぶっ壊してくれた。1つは、文面通りの「国民の政治への期待」であり、もう1つは「小沢民主党」だ。まさか福田政権が「小沢民主党」までをもぶっ壊してしまうとは、当の福田首相自身も驚いているだろう。

ただ、今回の「大連立」に関しては、新聞の社説などを見ると、世論の動向とは異なり、支持する論調も意外に多い。主要紙を見れば、支持派は読売を筆頭に産経、日経なども大連立を否定はしていない。否定しているのは朝日、毎日で、5大紙を見れば3対2で「大連立」否定派より、肯定派の方が上回っている。そして、その理由は簡単だ。ねじれ国会では重要政策が実現できないので、政策実現のために「大連立」も必要という論調である。だが、これに騙されてはいけない。

仮に、福田政権が公務員改革や歳出削減、さらには北朝鮮との拉致問題の解決など、国民の支持を受けるような政策を今後行なうつもりであれば、わざわざ民主党に「大連立」の話など持ち込む必要はない。国民に支持を受けない政策を推し進めようとするからこそ「大連立」で民主党を巻き込む必要が出る。では、その国民に支持を受けない政策とは何かと言えば、それが「消費税率アップ」という大命題なのではないか。今回の「大連立」話の仕掛け人が、消費税推進派の某マスコミの大物であることを考えれば、そう考えて間違いはないだろう。まあ、自民党にすれば、民主党がぶっ壊れて次の選挙で負けない確信が得られれば、それも成功と言えるのかもしれないが。

今一度、言おう。「消費税率アップ」で日本が救われるとしたら、僕自身は何が何でも反対と言う訳ではない。だが、本当にそれで日本は救われるのか。もっと福田政権には国民に支持を受けながら、進められる政策があるのではないか。民主党にしろ、密室談合で政権を得なくても、キチンとした政策を示せば、政権は結果として民主党に転がり込んでくるのではないか。

政治家が政治を殺してはいけない。今こそ、政治家にはしっかりと国民を見据えてほしいと思う。


福田首相、あなたは何をぶっ壊すのですか?



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(記者:iko)

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