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2007年11月07日(水) 12時15分

昭和末期・旧家の嫁(6)〜入籍ツカサネット新聞

「入籍」それは、法律的にも夫婦になった証拠でもある。その法的効力により、死ぬに死ねない地獄の日々を過ごすことになるとは、結婚前の私は知る余地もなかった。

お見合い結婚相手の和人さん(仮名)は、市役所勤務(当時、町役場)だった。結婚式と披露宴は管轄の公営施設を利用しなければならなかった。また、披露宴は10名のメンバーから構成されている彼のグループが仕切ってくださった。
披露宴のプログラムには「婚姻届」へのサインも含まれていた。婚姻届用紙に必要事項を記入、捺印して、当日披露宴の席でサインをすれば、それで婚姻関係が成立した。私は、結婚式・披露宴当時に入籍することになった。

新生活がスタートして間もなくのころ。部屋にいると、姑と魚の行商に来ていたおじさんとの会話が聞こえてきた。「籍さえ入れてしまえば、こっちのものや」それがどういう意味を持っているのか、まだわからなかった。

いまは、同棲という「お試し期間」を経て結婚する人が多い。社会全体がそうなってきている。その背景には戸籍を汚したくないという気持ちの表れがあるのか。

しかし、たとえ籍はきれいでも、異性と生活をともにすることは事実上で結婚しているのとなんら変わらないのではないかと思っていた。しかし、なんらかのトラブルが発生した場合、入籍をしているのと、そうでない場合とは天と地の差があった。

和人さんの家族との生活は、これから折々に話していくが、戸籍が邪魔するできごとがたびたび起きることになる。

和人さんは、ドメスチック・バイオレンス、つまり執拗に暴力をふるう人だった。あるとき、思いあまって自殺をしようとした私に「○○家の名前で、死んでくれるな!」そういった。

また、結論からいうと離婚への道を選択することになるのだが、たった1枚の離婚用紙にハンコをもらうことが、こんなにも大変なことなのだろうかと、苦悩の日々を送ることになる。


昭和末期・旧家の嫁(7)働きバチ


(記者:翔子)

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