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2007年11月07日(水) 11時57分

大連立構想における仮説(2)ツカサネット新聞

6日、渦中の民主党小沢代表が民主党議員の慰留を受け、代表に留まることを決断したという。信念の人が売りだった小沢氏の大きな挫折である。参院選に大勝し、安倍前首相を退陣に追い込んだ頃の民主党の勢いから見れば、この一週間ほどの間に、嘘のようなあっという間の転落である。この間に民主党が国民に与えた失望は限りなく大きい。

1つには、「民主党が政権党たりえない」と党首の口から語られては、国民は、当の本人が不安なのにとても政権を与える気にはなれない。

2つには、民主党の人材払底が見せ付けられた。安倍前首相の退陣は、小沢氏と同じく突然だったがその瞬間から自民党は、福田、麻生ら、党首未経験者が次々に権力奪取に向けた闘争を始めるパワーを見せた。それに対し、民主党は「小沢氏は余人を持って変えがたい」と、おろおろするばかり。誰も「党の危機を救えるのは俺しかいない」と立ち上がる人材がいない。さらに、もしも小沢氏に慰留を断られたときとして、名前が挙がった候補は鳩山、菅、岡田という昔の名前ばかり。やはり参院選の民意は、敵失による上げ底だったと国民も目が覚めたかもしれない。

さて、ここまで事態が進んでも、いまだに今回の党首会談にはわからないことばかりなのだが、今度は仮に「全ては福田首相の策略なら」と仮説を立ててみたい。

そう考えてもみたくもなるほど、自民党はついこの前までは法律の一本も通らず青息吐息だった。そして、今はオセロが全てひっくり返ったような圧勝なのだ。仮にそうだとすると福田首相が、会談で(1)新テロ法案には、連立が成立するならこだわらない(2)自衛隊の海外派遣は国連決議に基づく活動に限定するなど、確約した理由もわかる。福田氏は連立が成立しないのを見越して、小沢氏の提案を丸呑みし、小沢氏を夢見心地にさせた。新聞情報では、小沢氏は部屋を出るとき「決めてくる」と言ったという。

その後は、高みの見物で民主党が自壊していく。小沢氏は、昨夜になって福田氏にやられたと気づいたのではないか。それで、小沢氏らしからぬ「恥をさらしても」党首復帰を決断したのかもしれない。

普通、交渉が決裂すれば、双方が傷を追うはずだが大連立構想が漏れても自民党と福田首相は、傷一つ負ってない。「構想は小沢氏主導」とわざと漏らすことで、情報戦でも圧勝。この間、福田氏が発した言葉は「あ・うんの呼吸」「びっくりしました」「余韻覚めやらず」など木で鼻をくくったようなもの。

6日には、複数の法案成立について、民主党が軟化したと報道が伝えている。これをすべて計算の上で、やったとしたらあまりに見事な戦略家と福田氏のことを呼ばねばならないがこれは、買いかぶりすぎ、深読みのしすぎだろうか。これが福田首相が言っていた「新しい政治の動かし方」だったのか。

6日深夜、この構想を仕かけたと噂される読売新聞、渡邉主筆と福田首相が会食したと言う。シナリオどおりの展開に勝利の乾杯をあげたのだろうか。


大連立構想における仮説




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(記者:草莽メディア)

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