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2007年11月07日(水) 11時52分

国会で働く議員ランキングベスト10MyNewsJapan

 国会議員の報道といえば、スキャンダルか政局の話ばかり。だが、国会議員の最大の仕事は立法および法案の審議である。実は、衆参両院のWEBサイトでは国会の本会議や委員会で誰が何を発言、答弁したかを検索できる。そこで今回、2007年の通常国会での各議員の発言文字数をパソコンソフトの機能を活用してカウントしてみた。

 衆参の委員会・本会議での登場回数(発言がない場合は出席していてもノーカウントとする)、発言回数、発言文字数をカウントし、各議員の国会活動状況をランキングしたものが、冒頭の一覧表だ。

 まず分かったことは、国会が「大発言格差社会」であること。全議員平均は42,378文字であったが、上位5人は、その5倍超にあたる20万文字を超える一方、発言ゼロ議員も重鎮クラスを中心に83人もいたのだ。

 もちろん、給与は同じ。政党助成金や立法事務費、公設秘書3人分の報酬なども含めると、議員一人あたり約1億円の税金が使われている。この格差は容認できるのか。

◇発言の3分の2は野党議員
 次に分かったことは、上位を野党議員が独占していること。全体でも、衆参国会での発言量全体(大臣を除く)の66.5%を野党議員が占めていたのだ。衆参合わせて55.5%の議席を持つ自民党議員は発言量では半分未満の23.8%に過ぎず、多くの時間を野党に譲っていることが数値で明らかとなった。

 これは、原則どおり「議席数に応じた時間」にしてしまうと、たとえば「少数会派は30秒になってしまって質問にならない」といった理由から、慣例として、野党が要求する質問時間を受け入れる傾向にあるためだ。

 一般に「少数政党や無所属議員は、数の論理で発言機会がほとんどない」などと言われるが、むしろ無所属でない野党議員についていえば、その議員数比率以上に、発言機会が確保されているというのが事実である。特に社民と共産は、議員数比率の、実におよそ3倍も発言している。社民は議員数比率でいえば1.7%に過ぎないが、発言量比率では5.4%を占める。共産は議員数2.5%に対し、発言量は7.8%にもなる。

 答弁のため必然的に上位を占める大臣を除くと、衆参総合で発言量のトップは、一般の知名度は高くない民主党の櫻井充議員だった。2位:吉井(共産)、3位:川内(民主)、4位:保坂(社民)、5位福島(社民)と続く。

◇与党の主戦場は非公開の部会
 自民党議員は議員数では過半を占めるが、発言量は大臣の答弁分を含めて全体の約39.6%。しかも、自民議員の発言量全体のうち、大臣が59%も占めている。つまり、大臣ではない大多数の議員は委員会・本会議の最中、野党と大臣の質疑をひたすら聞いているのだ。

 与党議員の活躍の場は、国会に法案が提出される前の段階にあたる、党内の「部会」や「調査会」。そこで実質的な政策立案が行われるにもかかわらず、記録に残らないため、その透明度はゼロに近く、国民が与党議員を評価しにくい現実も見えてきた。

 自民党には各省庁に対応した部会が13あり、その他テーマごとに調査会が40以上ある。国会開催中に毎朝8時から党本部内で約1時間行われる「朝食会」が部会の中心だ。

 そこでは主に、官僚が持ち込む法案に「族議員」が注文をつける。公明党との根回しを経て、部会長が政調審議会、総務会に出席して了承を得ると「閣法」として国会に提出され、野党の質問を受け採決となる。

 これまで衆参で過半数を握っていた与党にとって、提出すれば可決は容易。したがって、政策立案におけるもっとも重要なプロセスは、省庁間の利害調整や業界団体とのすり合わせが行われる部会の場なのだ。

 だが実質的な政策決定の場である部会は密室で非公開。“株主”たる国民は、議員一人あたり年約1億円(歳費、立法事務費、政党助成金など含む)の税金を“投資”している。“IR活動”は必要ないのだろうか。
(渡邉正裕)


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