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2007年11月06日(火) 09時52分

発言の価値が高いのは誰?〜日本低金利政策からツカサネット新聞

10年前、日本がまだ金融危機の真っ只中にあるとき、世界が最も注目していた人物はジョージ・ソロスであっただろう。ヘッジファンドとか、デリバティブ(金融派生商品)とか、日本では聞きなれない金融言葉がどんどん入ってきて、日本の金融が変わっていくことを感じさせた。
それ以前は銀行がどうのこうのと話題にのぼることも珍しかった。
世界の動きを決めているといわれるダボス会議の存在も、ジョージ・ソロスの名とともにその頃に明らかになっている。
 
それから10年、世界での発言の価値が高いのはいったい誰だろうか。

ここ数年間、世界を動かしてきたのは、ブッシュ米大統領の言葉であろう。
9.11の同時多発テロ事件で、アルカイダという国際テロ組織の存在が明らかになり、テロとの戦争が始まっていく。そして、「悪の枢軸」発言でテロ支援国が名指しされた。
イラクでは戦争が始まり、リビアは大量破壊兵器の廃棄を宣言した。

そして、世界経済、世界金融でみるとそれは日銀の福井総裁であろう。
「明日から金利を普通の国に戻します」と言ったら、世界はどうなるのだろうか。
いまの低金利は異常であると誰もが思っている。
それが先月の決定会合でも低水準に据え置かれることになった。
据え置くというよりもむしろ引き上げられないといった方がいいかもしれない。
 
それは日銀が2月に金利を引き上げたことで、上海株式の大幅下落と今回のサブプライム問題発生のきっかけとなる個人破綻の増加となった。
なぜそんなことが起きたのかというと、日本が低金利であるからで、タダで借りた金が世界に投資されているから世界規模で景気がいい。
今の世界景気を支えているのは、日本の低金利である。日銀が金利を上げたことで、米欧はあわせて金利を上げて、この資金循環を止めない措置をとった。

日本の預金者を泣かせている低金利は、世界で住宅を買った人の生活を支えているといっても過言ではないのだろう。

一昔前はグリーンスパン米FRB議長だったが、いまは福井日銀総裁が世界経済に対して大きな発言力を持っていると考えているのは、私だけだろうか。
 


(記者:小笠原 俊)

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