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2007年11月06日(火) 19時41分

「強気のゴーン節」帰ってきた 日産復活は本物なのかJ-CASTニュース

 日産自動車の2007年9月中間連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が中間期では2年ぶりの増益となった。07年3月期決算は、00年のカルロス・ゴーン社長の就任後、初の減益に陥ったが、北米など海外販売が回復し、業績悪化に歯止めがかかった。ただ、海外生産に有利な円安効果も大きく、「ゴーン日産」が右肩上がりの成長神話を取り戻すには、まだ不確実な要素を抱えている。

■07年度世界販売台数は過去最高の370万台?

 日産の9月中間決算の営業利益は前年同期比5.3%増の3,671億円。売上高も同11.7%増の5兆644億円と中間期では過去最高を更新した。会見したゴーン社長は「成長軌道に戻すことを約束したが、軌道修正が円滑に進んだ」と胸を張った。中間決算発表の直前、日産は高級スポーツカー「NISSAN GT-R」を5年ぶりに復活させ、東京モーターショーで初公開した。ゴーン社長は「GT-R」に乗って、さっそうと登場し、「日産の技術を結集した」とアピール。反転攻勢に意気込む姿に、会場に集まった業界関係者らは「強気のゴーン節が帰ってきた」とささやいていた。さらに、中間決算の発表後、ゴーン社長は報道各社のインタビューに応じ、「07年度の世界販売台数は過去最高の370万台を実現できる」と強調した。07年度上半期(4〜9月)が前年同期比6.3%増の181万6,000台に達したことを踏まえたものだ。

 ゴーン流の必達目標である「世界販売420万台」は、07年3月期決算の不振を受けて、達成時期が09年度に1年先送りされたが、ゴーン社長は「09年度に到達するのは可能だ」と拡大戦略に自信を示した。しかし、9月中間決算の内訳を調べると、「復活」は道半ばであることがうかがえる。

■販売面では実質減益、円安で助かる

 世界販売は伸びたものの、収益で見ると、販売面は実質、約300億円の営業減益になった。販売が増えたのは、日本市場では軽自動車、北米市場も小型車「ヴァーサ」(日本名・ティーダ)と売れ筋が利幅の薄い小型車にシフトしたためだ。販売での減益を吸収したのが円安。為替効果だけで約480億円の営業増益の要因となり、収益回復を円安に頼る構図が浮かぶ。

 だが、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題を引き金とした米景気の減速が強まると、ドル安・円高に転じかねない。また、米景気の減速は自動車市場にも波及しつつある。当面は利幅の大きいピックアップトラックなど大型車の販売拡大は期待できそうにない。

 ほかにも国内販売の減少やガソリン価格の高騰など逆風の要素は多く、日産は08年3月期決算の業績予想を営業利益8,000億円と据え置いた。ゴーン社長の強気の発言を裏付ける材料は完全にそろっておらず、「復活」に向け、さらにアクセルを踏めるかは微妙だ。


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