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2007年11月06日(火) 18時30分

噂の「治験」に挑戦してみたオーマイニュース

 昔から若者の間で実際に存在するのかしないのか話題になり続けているアルバイトが有ります。その一つは死体洗いであり、もう一つは治験と呼ばれるアルバイトです。

 自分が学生時代の頃から、都市伝説的なアルバイトとして語られることが多かったと思います。いわく「怪しげな人体実験」「ハイリスク・ハイリターンなアルバイト」などなど……。

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 そんな怪しいイメージに引かれた自分は、以前から医薬品の臨床試験(通称・治験)を受けてみたいと思っていました。しかし、周囲に情報が皆無でしたので、長い間、治験には縁の無い生活を送っていましたが、自分にも、その実態が分かる時がやって来たようです。

 アルバイト情報誌などには掲載されることの無かった治験ですが、ネット社会の到来により、インターネットのサイトなどで広く協力者を募るようになっていたのです。

 早速、自分も、あるインターネットのリサーチサイトに登録しまして、そこに掲載されている募集の一つに応募することにしてみました。

 さて治験に応募して、治験の対象者に選ばれますと、治験のスケジュール、治験に際して支払われる協力費や実施場所、実施日、実施時刻、応募後でも治験をキャンセル出来ることなどについて書かれたメールが送付されてきます(試験直前には再び同一の内容の確認メールが届きます)。送られてきたメールを確認して実施場所や実施日、実施時刻、実施される治験の内容について特に問題は無いと感じた自分は、メールで必ず来所する旨を伝えました。

 実施場所は自分の住んでいる場所より遠い上に、表通りから外れた分かりづらい場所にあり探すのに苦労しましたが、実施当日は何とか時間ギリギリに実施場所に到着しました。

 到着後に簡単な受付を済ませ、まずは、メールで伝達されたものと同じ内容を今度は医師の方から口頭で説明され、説明後にはメールと同様の内容が書かれたプリントを渡されます。さらに、治験に参加したために何らかの健康被害や障害を被った場合には、適切な治療および補償が受けられることなども詳しく説明されます。

 その次に、プリントされた問診表を渡されますので普段の生活習慣、特に食事・運動・既往症の有無などを記入します。次に治験実施社名、治験薬品名、治験実施病院名、試験の内容の一部、目的などの秘密厳守に対する同意を求められますので、OKであれば同意書にサインします。

 サイン終了後、改めて身長、体重、血圧、脈拍の測定に加え、採尿、採血を行います。こうして、この日はあっけなく終わりました。時間にして1時間もかからなかったと思います。

 ちなみに治験では、この第1回目の検査をスクリーニング(選別検査)と呼ぶそうでして、これにより、協力者がこれから行う治験に適しているかどうかを検査するそうです。

 私にはスクリーニングから約1カ月後ほど経過した頃に、残念ながら今回の治験には不適格であるという旨の文書が自分の郵送されてきました。

 余談ですが、文書には採尿、採血による検査結果も添えられており、そこには動脈硬化指数と中性脂肪の値が、少しばかり危険値であると記されていました。健康には自信があっただけに、この結果は少しショックでした。残念ながら、自分の治験体験は、ここで終わりとなったようです。

 そして、不適格通知の1週間後に、来院する際の交通費の負担を軽減する試験協力費という名目で、数千円(具体的な額は規約により公表不可)が自分の通帳に振り込まれて来ました。実施場所にたどり着くまでの時間を除けば、僅か1時間で数千円という普通では考えられない額です。

 このような高額の協力費が支払われることがあるので、協力者、特に若者などが治験をいかがわしいアルバイト感覚で語ったりする理由の一つなのかも知れません。

 しかし本来、治験とは、医薬品や医療機器等の製造販売についての承認申請を行う際に必要な提出資料である臨床試験の結果資料の収集を目的として行われる試験の実施のことを指します。アルバイトと呼ぶようなものでは無いのは言うまでもありません。

 最後に治験前に受け取ったメールや口頭での説明も詳細で丁寧であり、不安を感じさせるような部分はありませんでした。実際の検査に際しても噂によって語られていたような怪しげな検査は自分の体験した限りでは、全く有りませんでした。

 どうやら治験は都市伝説的に語られているようにいかがわしいものでは無く、キチンとした会社の行うキチンとした調査のようです。

(記者:齋藤 正之)

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