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2007年11月06日(火) 13時10分

モーターショーで感じた「違和感」オーマイニュース

 東京モーターショーを見に幕張メッセに行ってきた。

 今年で40回を迎えるこのイベントはアジア最大級の自動車ショーということもあり、国内はもちろん、世界中から「カーキチ」が集まってきた。

 僕は晴海にあった見本市会場で開催されていた頃から来ているが、幕張で開催されるようになって、広く、見やすくなったし、何よりも大きな駐車場があるので、車で来やすくなったのが嬉しい。

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 外は肌寒かったが、会場に入ると熱気が物凄く、着ていたジャンパーを脱いでしまった。

 国内外からたくさんの自動車メーカーが出展し、それぞれのメーカーの車が会場せましとひしめき合っていた。

 モーターショーを見に来るたびに思うのだが、出展業者は大きく2種類に分けられると思う。

 ひとつは、このショーのためにその会社が持っている技術の粋を結集させた参考出品車など大きなブースでを何台も展示したり、話題の新車を大々的に発表してみたり、気合の入ったパンフレットを配ってみたりと、「皆さん、わが社の車を是非とも見てください!!」と、積極的にアピールする業者。

 もうひとつは、ブースも小さく、新車を展示するでもなく、パンフレットも普通のものを配るか、もしくはまったく配らず、「別にこちらから積極的に見て欲しいとは思わないけど、見たければ見てもいいですよ」と、まったくやる気の感じられない業者……。

 前者は日本車メーカーに多く、後者はヨーロッパの高級車メーカーに多い。

 日本は言わずと知れた「自動車大国」だし、その「ホーム」で出展する日本車メーカーが力を入れるのは当然だろうし、「アウェイ」の欧米メーカーが日本車メーカーより規模が小さいのは当然だと思う。恐らく欧米で自動車ショーが開催される場合は恐らく「逆転現象」が起こるのだろうと思う。

 実際、今回のショーの「一番人気」と言われた車は日産の「GT-R」の前には人垣が4重にも5重にも重なっていて、とても車を見ることは出来なかった。

 もちろん外国車メーカーでもBMWやベンツ、ボルボなど「是非見てください!!」と、アピールしているメーカーは多数あり、とても好感が持てた。

 が、しかし、そんな中で強い疑問と違和感を感じるブースがあった。高級車メーカー、ベントレーである。

 このブースに近づくと、異様さに気付く。入場者が誰も車に近づかないどころか、遠巻きに眺めているだけでブースの中に入っている人が誰もいない。

 何だろうと思ってブースの前に行って気がついた。入り口が締め切られていて、「一般人」は入れないようになっているのだ。

 しかも、その入り口にご丁寧にも注意書きが。

 「当ブースではご招待のお客様のみご入場可能とさせていただきます。ご了承ください」と。

 「何じゃ、こりゃあ!」 思わず言葉が出てしまった。

 まるで高級料亭が「一見様お断り」にしているかのようだ。

 確かにベントレーは高級車だし、僕も含め、今回このショーにやってきたほとんどの人たちには縁のない車だろう。

 しかし、そんな一般人たちが普段見る機会のない、一生乗ることのない高級車を間近で見て、触れて、場合によっては乗れたりして、その日限りの「夢」を見られるのがこのショーの醍醐味だし、それを楽しみに来ている人も多いと思う。そんな「夢」を見に来た人たちに「現実」を突きつけ、頭から冷水をかけるような、ベントレーの「仕打ち」には強い違和感を感じた。

 このショーには10回以上来ているが、こんなブースは初めてだ。見事なまでの「差別」だと思うのは「貧乏人のひがみ」だろうか?

 同じことを思っていた人もいて、「お高く止まりやがって」などと吐き捨ててブースを後にする人もいたし、「こんなことするくらいなら、わざわざこんなところに出展なんかしないで普通のショールームでやれっていうんだよなあ」という人もいた。

 まったく同感だ。こんな「一般人」の反感を買うようなまねをするのなら、初めからモーターショーに出展なんかせず、普通にディーラーのショールームでお得意様相手に展示会を開いたほうがよっぽどいいと思う。

 出展するなら「差別」などせず、「一般人」にもブースに入ってもらい、積極的に見てもらう様にしなければ意味はないだろう。「やる気」がないなら無理に出展することはない。

 恐らくこれでベントレーに反感を持った人間は少なからずいるはずだ、仮に金があっても絶対ここの車は買わないと。車は極めて感情的な商品である。

 今回のモーターショー、色々な新しい車や技術が見られて嬉しかったし、楽しかったが、それだけが心に引っかかったし、残念に思う。次回はベントレーにも「夢」を見せて欲しいと思うが、そんなことごめんだと言うのなら、潔くモーターショーから「撤退」し、「やる気」のあるメーカーにその場所を明け渡すべきだと思う。

(記者:小澤 健二)

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