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2007年11月06日(火) 23時52分

複数目的艦へ給油160件 防衛省 疑惑なお払拭できず朝日新聞

 防衛省は6日、インド洋で海上自衛隊が他国艦船に給油した燃料の転用疑惑に関し、「燃料はテロ対策特措法の趣旨に沿って使用された」とする報告書を発表した。だが他国の補給艦や、イラク作戦など複数の作戦を兼務する艦船への給油がそれぞれ約2割に及んだ。これらに提供した燃料が対テロ作戦に使われたかどうかではなく、補給したのと同量以上が対テロ作戦に使われていれば問題なしと判断。他国補給艦に補給した後、どのように使われたのかデータを入手できなかった例もあり、疑惑払拭(ふっしょく)にはほど遠い内容になった。

 調査は、給油活動を開始した01年12月から07年10月までの計794件の全件が対象。内訳は海自補給艦から他国補給艦への給油が147件で、巡洋艦などへの直接給油が647件。直接給油のうち、対テロ作戦の「不朽の自由作戦」や「海上阻止活動」の任務とともにイラク作戦など他の作戦にも就いていた艦船への給油は160件だった。

 政府は当初、日本が提供した燃料は「イラク作戦には使われていない」としていた。だが報告書では、給油した際に艦船に残っていた燃料と混ざるため、日本が提供したのと同量以上が対テロ作戦に従事している間に使われていれば「テロ対策特措法の趣旨に沿った燃料の使用」と認定した。

 他国補給艦への間接給油では「再補給に関するデータが入手できないものがあった」とし、これらが適切に使われたかどうかは「一定の推定を行い、確認作業をした」などと記した。また給油先の艦船名は明かしたが、個別艦船への給油量や、推計の根拠となるデータは「他国との関係上公表しない」(防衛省幹部)として示さなかった。

http://www.asahi.com/politics/update/1106/TKY200711060367.html