記事登録
2007年11月05日(月) 22時07分

東洋ゴム工業でも不正発覚、断熱板認定試験で虚偽サンプル読売新聞

 国土交通省は5日、タイヤや建材のメーカー「東洋ゴム工業」(大阪市)が建物の防火用断熱板を製造する際、虚偽のサンプルで試験を受け、国交相認定を不正に取得していたと発表した。

 この断熱板は、全国の工場や店舗など少なくとも176棟に使用されており、いずれも不燃性などが認定基準より劣っている可能性が高い。国交省は大臣認定をすべて取り消し、断熱板の交換を指示した。

 同社は建物用の断熱板の製造から撤退する方針。

 国交省によると、問題の断熱板はウレタン材を金属板で挟む構造で、建物の天井や内壁、外壁などに使用されている。

 同社は、建物用の断熱板の製造を始めた1992年10月〜2004年5月、評価機関の試験を受け、計6種類について、20〜10分間の不燃性などを認められ、大臣認定を取得した。

 ところが、同社は試験を受ける際、建材部門の技術、生産、販売の3部長の判断で、断熱板のサンプルには、燃焼を抑えるよう不正に水酸化アルミニウムなどを混入させていた。このため、実際の断熱板は不燃性が基準の3分の1程度しかないとみられている。

 176棟に使用されていた断熱板の総面積は計約15万平方メートルで、同社では改修工事費用として約40億円を見込んでいる。建物の中には、富山県内の中学校調理室や宮城県内の高校部室なども含まれているという。

 同社は昨年3月、3部長が改めて社内実験を行い、性能が劣ることを確認していたが、大手建材メーカー「ニチアス」(東京)による耐火性能の偽装問題が発覚した後の10月31日、初めて不正の事実が上層部に報告されたという。

 同社の片岡善雄社長は国交省で記者会見し、「新商品を早く開発したいという担当者の焦りがあったのではないか。部門の閉鎖性もあって不正を把握できず、申し訳ない」と陳謝し、「しかるべき時に私を含めた関係者の厳正な処分を行う」と述べた。

 同社は5日、相談窓口(0800・3001456、土日を除く午前9時〜午後6時)を設置した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071105i114.htm?from=main1