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2007年11月05日(月) 10時48分

体験的がん早期発見法ツカサネット新聞

最近、有名人のがん報道が続いている。私自身はがんにかかった経験はないのだが、身内にがん患者が多く、何人もの人を看取ってきた。その経験から学んだことを、ここに記しておこうと思う。

まずは最近、筑紫哲也氏の入退院等でいろいろと話題になっている肺がんである。身内が肺がんになってみて、最も驚いたのは、通常のレントゲン検査では初期の肺がんが見つかる可能性はかなり低い、ということであった。

だから、肺がんの治癒率が低い理由はレントゲン検査で肺がんが見つかった時点で、かなり進行しているケースが多いためで、早期に発見できれば、もっと生存率は高くなるそうである。そして、肺がんを早期に発見したければ、CT検査を受ければいいそうである。

私自身も身内のCT検査の画像を医師から見せられたが、画像を見ると素人でもはっきりとがんの腫瘍がわかった。CT検査の画像について、医師の説明だと、肺を輪切りのように撮影して、断面をスライス状に画像にしているという風な説明だったと思う。そして色々な角度から、がんと疑わしい部位の画像を見ることができるのだが、黒い背景のCT画面に、ぽこっと小さなサイコロのような白っぽい塊がどの角度から見ても浮き上がってくる。手術の結果、その塊は、やはり肺がんであった。

だから、会社の健康診断でレントゲンを採った程度で安心していては、とんでもないことになる。本当に肺がんを予防したければ、もう少し精密な検査を定期的に受けなければならないのである。

ただ、CTは放射能が強いらしく、放射能関連のリスクもいくらかはあるらしい。しかし、肺がんのリスクを考えれば、CT検査を定期的に受けた方がいいのでは、と個人的には思う。ちなみに、CT検査はうちの近所の割と大きな病院で、8,000円くらいでやっているとの告知を見たことがあるので、探してみれば、そういう施設は結構あるのでは、と思われる。

そして、次に、大腸がんである。この大腸がんについても、身内がかかってみて、改めて知らないことばかりだったのに驚かされた。まず、大腸がんというがんは、早期に発見できれば、ほとんど治る、非常に生存率の高いがんであることを知った。早期発見なら、治癒率は90%を超えるらしい。

そして、手術の際も、昔は人口肛門というケースも少なからずあったようだが、最近では、医療技術の進歩からか、肛門の近くにできたものでもない限り、人口肛門になるべくならないような手術がなされるようだ。

実際、昔は、働き盛りで人口肛門をつけると、肉体労働などに従事している人は、並々ならぬ苦労があっただろうと思われる。現在は、その点では、かなり安心して手術が受けられるようになっている。

また、大腸ポリープというものは、ある一定の年齢を超えれば、良性のものも含めれば、50 〜60%の人にできるものらしい。60%といえば過半数を超えているわけだから、大腸ポリープは誰にでもできるものと言っても言い過ぎではないだろう。

そして、良性の大腸ポリープでも、直径2cmを超えると、ほとんどが悪性のがん細胞に転化していくそうだ。だから、大腸がんは誰でもかかる可能性のあるがん、というくらいに思っておいたほうがいいのである。この大腸がんも検便検査だけでは、見落としが結構あるようである。私の身内のケースでも、毎年検便検査をしていたにもかかわらず、発見できなかった。だから、排便時等によく出血がある人は、一応大腸がんを疑ってみた方がいいのでは、と思う。しかし、たいていの人は、痔だと思い込んで放ったらかしにして、手遅れになってしまう。

そして、大腸がんを確実に発見するには、大腸内視鏡検査を受けることが必要である。これは肛門から内視鏡を盲腸まで挿し込んで、検査していくというものである。この検査は、レントゲンなどよりは大変なようだが、検査自体は20分程度で終わるもののようなので、定期的にこの検査を受けるのが一番確実な予防法だと思われる。

つまり、大腸がんも肺がんと同じで、検便検査のような簡単なものをしたくらいで、がんでなかったと喜んでいては、取り返しのつかない結果になる可能性がある、ということである。

大腸がんは早期に発見すれば治るがんだけに、手遅れになると後悔も大きいと思われる。だから、痔のような出血のある人は検査を受けるべきだと思う。また、20代や30代で大腸がんにかかる人も、それなりにいるようなので若いからといって油断はできない。また、大腸がんは無事に手術して退院すれば、食事や排便等を含めて、以前とほとんど変わらない生活ができるのも特徴である。

それと、大腸がんの手術には、一般の手術の他に腹腔鏡手術がある。腹腔鏡手術は傷が小さくて済むので退院が早いメリットがある。しかし、腹腔鏡手術はまだ特殊な技術で、医師によって技術に差があるそうである。

私の身内も、手術前の医師からの説明の際に、一般の手術にするか腹腔鏡手術にするかどちらにしますか、と聞かれたが、安全第一を考えて、一般の手術にしておいた。

これ以外で、気づいたこととしては、がんの転移のことなのだが、たとえば、大腸がんが肝臓に転移しても肝臓がんになるのではなく、大腸がんの肝臓転移になるということである。つまり、大腸から肝臓に転移したがん細胞は、肝臓がんのがん細胞ではなく、大腸がんのがん細胞が増殖したものなのだそうだ。だから、がん細胞を採取して調べれば、それがどこから転移してきたものかわかるそうである。

私が、家族のがん患者を看病等して学んだことは、だいたいこのようなことである。最後に、私が強く感じることは、がんに一番効果のある予防法は精密検査以外にないということである。だから、がんが怖い人や健康が気になる人は、定期的にがんの精密検査を受けることである。

また、がんとは直接関係のないことだが、最近の病院では、かなり重い手術をしても1週間くらいで退院させるケースなどが多くて驚いてしまう。もちろん、患者がまだ苦しい、というようなことを訴えれば、もう少し入院期間をのばしてもらえるのだが。医療費抑制の現実がこういうところにまで及んでいるということなのだろう。

なお、ここで書いたことは実体験に基づくことなので、たぶんそう間違いはないと思うのだが、私は専門家ではないので、詳しくは下記の専門機関のサイト等を参考にされたい。



「国立がんセンターがん対策情報センター」


(記者:もくもくハウス)

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