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2007年11月05日(月) 15時02分

<巨額詐欺事件>凍結口座の資金引き出し狙う…FAC幹部ら毎日新聞

 「エフ・エー・シー」の巨額詐欺事件で、エフ社の支部長らが出資者の債権を譲り受け、凍結中の預金口座に残された出資金を引き出そうとしていたことが5日、4県警合同捜査本部の調べなどで分かった。出資者と交わした債権譲渡の同意書には「資金が戻れば新事業を展開する」という趣旨の記載があり、FAC被害者福岡弁護団は「被害者から更に金をだまし取ろうとする悪質な手口だ」と批判している。

 合同捜査本部や関係者によると、凍結口座の預金を引き出そうとしたのは、エフ社の支部長らでつくる「はつが会」。エフ社の預金口座は06年6月の福岡県警の家宅捜索後に凍結されたが、同会は出資者から債権譲渡を受け「出資者の意向」として福岡地裁に残金の差し押さえを請求したという。同会は出資者に「残金は返金せず、携帯販売や水のビジネスなどに投資する」などと説明していた。

 合同捜査本部の調べでは家宅捜索時、エフ社の口座の残額は約6億円。FAC被害者福岡弁護団が10月9日、エフ社の破産を申請し、福岡地裁が残金の保全命令を出したため、はつが会への資金流出はなかった。

 同会は出資者に対し「弁護士を付けて裁判を起こしても、はつが会が債権を確保するから出資金は戻らない」などと説明していたという。合同捜査本部は、同会が出資者を説き伏せ、エフ社への訴訟を回避する狙いもあったとみて調べている。

 エフ社を巡り、FAC福岡被害者弁護団は福岡地裁に出資金の返還を求めて集団訴訟を起こし、これまでに全原告177人が勝訴。計2億8000万円の返還を受けた。熊本や大分などでも同様の判決が相次いでいる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071105-00000045-mai-soci