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2007年11月05日(月) 12時56分

4カ国に10億円投資するも利益なし エフ社事件朝日新聞

 福岡市の投資コンサルティング会社エフ・エー・シーによる出資金詐欺容疑事件で、同社がモンゴルなど海外4カ国での事業や外国為替証拠金取引に計約11億円を投資しながら、いずれも失敗していたことが福岡など4県警の合同捜査本部の調べでわかった。捜査本部は、同社には新たな出資金を集める以外に収入の見込みがなく、出資者に約束していた月5%の配当を支払い続けることは出来なくなると知りながら勧誘を続けていた、とみて調べを進めている。

 調べでは、エフ社は04年末の設立から約1年半の間に、海外での事業への投資を次々に繰り返していた。

 投資額が最大だったのはモンゴルの炭田開発事業で、約7億9000万円。出資者の勧誘セミナーでは「採掘した石炭を先進国に輸出して利益をあげる。現地の人も喜ぶ」と説明し、勧誘の材料として使っていたという。

 同社はほかにも、サイパンでの土地購入に約1億5000万円、ベトナムでの工業団地開発に約4700万円、中国・上海での事業に約600万円をつぎ込んでいた。

 しかし、捜査本部によると、押収資料などからは、こうした海外事業による収入は確認できず、いずれも失敗に終わっていたとみられる。にもかかわらず、セミナーなどでは「ビジネスと慈善事業を両立させる」などと海外事業で成果が上がっているかのように説明し、出資金を引き出していたとみられている。

 また、捜査本部は、エフ社が出資者に「収益の柱」と説明していた外国為替証拠金取引でも、約1億4100万円を投資し、約7000万円の損失を出していたことを確認した。同社は「プロが運用して確実にもうけている」と宣伝していたが、実際は「まったくの素人がやっていた」(福岡県警幹部)という。

 一方で、元社長の黒木博文容疑者(42)の1億3500万円、現社長の松隈茂則容疑者(54)の9580万円をはじめ、幹部らには多額の報酬が支払われていたという。「黒木元社長は報酬のほかにも、中洲のクラブで飲んだり高級車を買ったりして、派手に金を使っていた」と話す元社員もおり、捜査本部は集めた出資金の詳しい使い道を調べている。

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 捜査本部は4日、黒木元社長ら6容疑者を詐欺容疑で送検し、福岡市内のエフ社の関係先3カ所を同容疑で家宅捜索した。同日までの調べに対し、逮捕された12人のうち11人が容疑を否認しているという。

http://www.asahi.com/national/update/1105/SEB200711050006.html