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2007年11月04日(日) 11時09分

大阪市有地19年間、清掃会社に9割引きで貸与産経新聞

 大阪市が同市浪速区にある市有地の一部を隣接する清掃会社に、周辺の地価相場の最大9割安という“格安”で貸与していた問題で、大阪市はこの清掃会社との契約を来年3月末で打ち切り、来年度以降は更新しない方針を決めた。市は「緊急的な措置」としながらも、19年間にわたり貸与契約を継続していた。問題発覚後に市民から批判の声があがり、「一時的な使用という趣旨を踏まえると市民の理解は得られない」と判断した。またこの間、大阪市が土地の使用料を値上げする際、急激な値上げで借り主の負担がかかるとの理由で、段階的に賃料を上げていく「激変緩和置」を2回適用していたことも判明。特定事業者への“優遇策”ともいえる一連の対応に同業者から不満があがったことも契約打ち切りの背景にあるようだ。
 市によると、土地の使用料は貸し付け面積が増えた平成4年に見直され、管財担当局は地価相場の約2割の69万9589円で賃料を算出。しかし、市は「急激な値上げは借り主の負担になる」として3年間の激変緩和措置を適用、4年度の賃料は64万9771円にまで下がった。3年後に74万9407円まで値上げされたが、賃料は10年間据え置かれ、14年に「貸付期間が長期に及んでおり、趣旨を踏まえた適切な措置を講じるべきだ」と市監査委から指摘された後、賃料は相場の約50%にすると決定。しかし、市は再び激変緩和措置を適用し、16年度の賃料を相場の約35%に緩和したという。
 市環境局は「借り主側から激変緩和措置の強い要望があり、適用を決めた」としているが、業界関係者は「他の業者の多くは収集車を分散して止めたり、遠方の駐車場の確保を余儀なくされている。なぜ特定業者だけ優遇されるのか。業界内でも不満は多かった」と話す。
 市民グループ「大阪市を洗濯する会」共同代表、前川武志さんは「市は報道の指摘で重い腰を上げてようやく非を認めたが、あまりにも対応が遅い。約20年にわたり問題を先送りしてきた経緯は行政の怠慢以外の何ものでもない。現在進行形の市政改革を推し進めるためにも、この件について大阪市は徹底した情報公開と説明責任を果たすべきだ」としている。

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