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2007年11月04日(日) 01時12分

NOVAがまとめていた「存続200教室」のリスト朝日新聞

 会社更生法適用を申請した英会話学校大手のNOVA(大阪市)が倒産の直前、教室数を3分の1以下の約200カ所に縮小する大規模なリストラ案をまとめていたことが2日、朝日新聞が入手した内部資料で分かった。各教室の採算や閉鎖した場合の収支への影響額を試算し、都市部を軸に存続教室を絞り込んでいる。保全管理人が来週中を期限として進めている支援企業探しでも、交渉の重要なたたき台になっているとみられる。

  

 資料はNOVA社内で10月以降に作成された。存続予定の教室は東京では池袋、新宿東口など30カ所、愛知は名古屋栄など14カ所、大阪は梅田など15カ所、福岡は天神など7カ所。採算性の高い首都圏や近畿などの都市部は十数校以上を維持するが、地方都市では1〜2校に絞り込んでいる。

 資料では、年間損益、保証金の返金額、閉鎖による経費の削減可能額などを教室ごとに試算。200の存続教室をピックアップし、約490教室を閉鎖対象としている。NOVAは更生法申請までの準備期間が短かったことから、交渉に必要な資産査定などが十分に済んでおらず、交渉の前提はこの200教室への縮小案が軸になっているとみられる。

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 「200の拠点は死守したいと考えております。200の拠点だけでも至急オーナーにフォローを入れてほしい」

 朝日新聞が入手した内部資料では、存続させたい200校のうち、家賃滞納で解約通知書が届いいていた教室の担当者に、契約継続に向け早急に家主と話し合うよう指示する文言がある。10月下旬の段階で解約通知書を受け取っていたのは全国で73校。うち吉祥寺、難波など22校が「200校」に含まれていた。

 内部資料では、10月段階で存続していた全国の689校について、受講生の人数や経費の削減状況、家主への家賃支払額などを比較検討し、最優先で死守したい教室を200校にしぼっている。閉鎖対象は約490校。その一つである新宿本校(東京)は年間損益が1億1200万円の赤字。閉鎖すると、収入減を差し引いても07年度の収支に9200万円のプラス効果がある、とされている。

 200校を地域別に見ると、最も多いのは東京都で30校。神奈川、埼玉、千葉の3県で40校あり、首都圏に計70校が集中する。受講生が多く収益力が高いためだ。近畿圏は大阪府の15校を含めて2府4県で計37校ある。

 最も年間利益が多いのは上大岡校(横浜市)で1億7400万円。ただ1億円以上の利益を計上しているのは689校のうち、わずか18校。ただ赤字も計39校にとどまっており、試算が甘めの可能性もある。

 9月末から10月26日の会社更生法の申請までに実際に教室を閉鎖したのは、21都道府県の115校余り。首都圏と関西にある教室だけで全体の8割以上の100校近くを占めるなど、強引な拡大戦略で出店過剰になっていたエリアから優先的にリストラを進めたようだ。

 これ以外に、閉鎖の日取りが決まっていたのが80校近く。資料の「200校」体制を実現するには、さらに300校近い教室を閉鎖する必要があった。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200711020074.html